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「W7ジャパン・サミット」が東京で開催されました(4/16)

 G7(主要7か国サミット)の公式エンゲージメント(関与)グループの1つであるW7(Women7)が、2023年5月の広島でのG7開催に向けて、4月16日に東京の浜離宮朝日ホールでW7ジャパン・サミットを開催しました。
 W7は、G7首脳へのコミュニケ(共同提言)を作成するため、世界のジェンダーの課題を5つに分け、公募で集まったアドバイザーたちによるワーキンググループで活動していましたが、今回、5つの分野を横断したテーマが「交差性・複合差別」でした。W7は、「交差性・複合差別」について、「ジェンダー、人種、民族、性的指向、性自認、障害と能力主義、階級や他の形態の差別に基づく不平等に根ざしたシステムが交差的に作用することによって現れる状態や効果」(注)と説明してします。
 セッション1は、この横断的テーマである「『交差性・複合差別』とジェンダー」について5人のスピーカーがそれぞれの複合差別の現状と取組みを紹介しました。「エスニシティ×ジェンダー」は、「アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク」代表でヒューライツ大阪上席研究員の朴君愛が発言しました。また、「障害×女性」は、DPI女性障害者ネットワークの河口尚子さんが、「LGBTQIA+ ×女性」として「認定NPO法人虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんが発言しました。海外からのスピーカーとして、登壇者最年少20歳のSheLeads(FEMNET)で活動しているマリのMama Sampyさんがアフリカでの「若者×女性」で発言し、ウガンダ在住で「国際女性平和センター」のHelen Kezie-Nwohaさんが、「紛争と女性」の問題を提起しました。モデレーターは、W7ジャパンの共同代表・ヒューライツ大阪所長の三輪敦子が務めました。


w7写真.jpg「セッション1:『交差性・複合差別』とジェンダー」
写真提供: Women7/Yuichi Mori

 私自身(朴君愛)は、W7というグローバル規模の集まりで、「交差性・複合差別」の観点に焦点が当てられ、日本のマイノリティ女性グループの小さな声を発信できたこと、国境を越えジェンダー平等をめざす多様な登壇者と参加者との議論に参加できたことにエンパワーされました。まずは私も含めて参加者のみなさんが、W7サミットの議論を通じて得た情報やつながりをローカルな現場に伝えることが大事な作業であると痛感しました。
 続いて、小倉將信・男女共同参画・女性活躍担当の挨拶と若者たちによる大臣インタビューがあり、セッション2は、「他のエンゲージメントグループとのコラボレーション」ということで、C7(市民社会グループ)、B7(経済界)などさまざまなグループから、ジェンダー平等を共に推進していくための連携・協力について発言が続きました。とりわけ2023年は、P7(Pride 7)、つまり「LGBTQIA+」が立ち上がり、プライドハウス東京代表の松中権さんがその喜びを紹介しました。
 セッション3は、各ワーキンググループからG7に要請するコミュニケ「女性のエンパワメント、意味ある参加、リーダーシップ」、「女性の経済的正義とケアエコノミー」、「身体の自律と自己決定」「持続可能性と正義のためのフェミニスト外交政策」「ジェンダー平等のための説明責任と財源調達」について発表がありました。セッション4は、「今後の道筋:G7のアカウンタビリティをいかに果たしうるのか」が議論され、さらにG7への追加の要請として、デジタル社会における女性の排除と安全に関するアクションが提案されました。
 2023年のW7のスローガンは、「フェミニストは求めます、平等、公正、平和な未来の構築を(Feminist Demands for Building an Equal, Just, and Peaceful Future)」。W7で言うフェミニストとは、「性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動に参加する人」(米国のブラック・フェミニスト、ベル・フックスの定義)のことで、今回は、特に、LGBTQIA+の課題の主流化、若者たちの参加、声を上げられない人たちの声を最大限聴くという3点に努力が傾けられました。
 当日は、会場とオンラインを併せて日本の内外から600人の参加がありました。翌17日に、W7ジャパン共同代表の三輪敦子・ヒューライツ大阪所長、福田和子・#なんでないのプロジェクト代表、斎藤文栄・JOICEP(ジョイセフ)アドボカシーマネージャーをはじめとするW7ジャパン実行委員会メンバーと、C7やグローバル・サウスからの参加者、障害女性、LGBTQIA+女性が、首相官邸に行き、コミュニケを岸田首相に手渡し、G7で反映するよう要請しました。

(朴君愛)

(注)W7ジャパン2023の「コミュニケ」より(※Center for Intersectional Justiceのサイトの定義に微修正を加えたものという説明)

W7Japan 2023 https://women7.org/[英語]

W7コミュニケ2023 正版 
http://women7.org/wp-content/uploads/2023/04/W7Japan2023_Communique.pdf[英語]

W7コミュニケ2023 
http://women7.org/wp-content/uploads/2023/04/W7-Communique_Japanese.pdf[日本語]

W7コミュニケを首相に渡す(4月17日)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202304/17menkai.html(首相官邸)


(参考)「ジェンダー平等と女性の権利のために G7に提言する「W7」とは?」(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/withplanet/stg/article/2023041201.html


(2023年04月26日 掲載)