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子どもたちの衝撃的な犠牲は、行動を起こすきっかけとなるべき-ミャンマーの人権に関する国連特別報告者(6/29)

 ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者のトーマス・アンドリュース氏は6月29日、ミャンマーの軍事政権は、2021年2月のクーデター以降の子どもたちに対する衝撃的な暴力に責任があると憂慮しました。
 2022年3月の第49会期国連人権理事会での報告から3カ月を経て、アンドリュース特別報告者は、「取り返しのつかない被害」を受けて国外に逃亡した若者たちに会い証言を聞いたと語っています。
 以下、プレスリリースの翻訳です。

空席のミャンマー代表席
 人権理事会への代表席が空席となっているミャンマーについて、アンドリュース特別報告者は、「3月以降も厳しい事態が続いている。軍事政権が反対勢力に対して行った血生臭い作戦の結果、2,500人以上の市民が殺され、100万人以上が国内避難民となっている」と語りました。
 特別報告者は、恣意的に拘束された政治囚の数が11,000人を超え、軍事政権がまもなく死刑囚を処刑する旨を発表していると警鐘を鳴らしています。ミャンマーの事実上の支配者に対する市民の反対が広がる中、特別報告者は、国軍が村人やその他の非戦闘員に銃を向けたり、北西部では放火や殺害といった残忍な作戦を加速させている、と報告します。

殺され、傷つけられた子どもたち
 そのような事態を報告する任務は、インターネットが遮断されて困難になっているとし、「ネットの遮断はもちろん、軍の意図によるものである」とアンドリュース氏は述べました。反対派の戦闘員とつながりがあると疑われた若者たちに対する蛮行について次のように説明しました。
 「クーデター以降、少なくとも382人の子どもが殺される、もしくははひどい危害を与えられ、1,400人以上の子どもが恣意的に拘束され、142人の子どもが拷問を受けている。これらの子どもたちは、殴られ、切られ、刺され、タバコで焼かれ、爪を剥がされ、歯を抜かれ、無理な姿勢を強いられ、模擬処刑や性的暴行などを受けている」。

戦争犯罪の告発
 そのような犯罪や「市民への度重なる攻撃」は、戦争犯罪や人道に対する罪にあたると、特別報告者は主張します。特別報告者は、独立した人権専門家で、人権理事会の特別手続きに基づいて3年間無報酬で任務にあたります。
 2022年のミャンマー国連人道危機対応計画は、予算の10.5%しか執行できておらず、救援活動が著しく阻害されているミャンマーにおいて、早急に行動を起こさなければ人道危機がさらに悪化する危険性があるとしています。

忘れられた状況
 特別報告者は、「定期的な予防接種を受けられなかったために、2022年だけで33,000人もの子どもたちが予防可能な病気で死亡する可能性がある」と説明し、「500万人の子どもたちが緊急人道支援を必要としている。複数の専門家は、迫り来る食糧危機と、小児栄養失調、発育障害の割合が劇的に増加する可能性がある」と警告しています。
 「身体的・性的虐待、子どもの人身取引、児童労働はいずれも増加傾向にある。特に少女は、強制婚や性的搾取の被害を受けやすい」。

安保理はいつ行動を起こすのか?
 アンドリュース氏は、国際社会のミャンマーへのアプローチは「機能していない」と主張し、安保理に行動を起こすよう促します。
 「ミャンマーの人々は、安保理がミャンマーに関する何らかの決議を検討することを待ち続けている」と述べます。「一部のメンバー国は、他の危機への対応として制裁を行っていても、ミャンマー軍事政権に制裁を課すことができないでいる。制裁を採択した国であっても、その制裁を戦略的に実行することにしばしば失敗している。多くのメンバー国は、軍事政権の最大の収入源とその資金移動能力を抑え込むことにも失敗している。また、ASEANの5項目のコンセンサスは、具体的な成果を生み出せないままである」。

訳:細川由結・ヒューライツ大阪インターン

<出典>
https://news.un.org/en/story/2022/06/1121662
Myanmar: Shocking toll on children must be spur to action, says UN rights expert
29 June 2022

<参照>
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.ohchr.org%2Fsites%2Fdefault%2Ffiles%2F2022-03%2FA_HRC_49_76_AUV.docx&wdOrigin=BROWSELINK
Human Rights Council Forty-ninth session (28 February-1 April 2022)
Report of the Special Rapporteur on the situation of human rights in Myanmar, Thomas H. Andrews
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/mmr_humanitarian_response_plan_2022-final.pdf
ミャンマー国連人道危機対応計画(2022)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/04/3eb7ac03b8129ca6.html
ASEAN首脳級会議を開催、ミャンマーへの特使派遣など5項目を発表
(2021年04月27日 JETRO)


(2022年07月13日 掲載)