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ミャンマー軍事クーデターから1年:日本政府の姿勢と市民のアクション(2/1)

国連人権高等弁務官、国際社会に働きかけを促す

 2021年2月1日にミャンマーで起きたクーデターから1年を前に、バチェレ国連人権高等弁務官は1月28日、国際社会に、人々に対する暴力行使の停止と、民政の早期回復を求めるミャンマー国軍への働きかけの強化を促しました。

 バチェレ高等弁務官は、ジャーナリストが拷問され、工場労働者が脅迫され、黙らされ、搾取され、ロヒンギャなど少数民族や宗教者への迫害が強まり、反体制派が恣意的に逮捕・勾留、見せかけの裁判に付され、村人を標的とする「掃討作戦」、空爆を含む無差別攻撃や人口密集地での重火器の使用などにより人命が著しく軽視されているなどの悲惨な話をたくさん聞いている、と憂いました。

 しかし、勇気ある人権擁護者や労働組合活動家たちは、抗議し、訴え、人権侵害の証拠を記録し蓄積し続けています、と述べました。

 反対意見を封じ込めるための治安部隊による残忍な行為により、クーデター発生以降、国軍により少なくとも1500人が殺害されました。しかし、この数字には全国的に激化している武力紛争や暴力による数千人以上の死者数が含まれていません、としています。

 「人権高等弁務官事務所は、日常的に重大な人権侵害が行われていることを記録しており、その大半は治安部隊によるものです。少なくとも11,787人が、平和的な抗議行動やネット上の活動を通じて軍に反対表明したことを理由に恣意的に拘束され、そのうち8,792人が今も拘束されています。少なくとも290人が拘禁中に死亡しており、多くは拷問によるものだと思われます」と述べました。

 同事務所は、クーデター以降の詳細な人権状況の報告書を2022年3月に発表する予定です。


外務大臣が懸念表明

 林外務大臣は、2月1日の記者会見の冒頭で次のように語りました。「日本として、昨年2月1日のクーデターから1年が経った今、なお事態の改善に向けた動きが見られないことに、懸念を表明いたします。日本は、この機会に改めてミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復について、具体的な行動をとるよう強く求めます」。

 以上のように、クーデター直後から表明している政府の立場を繰り返すだけにとどまりました。


日本の市民社会のアクション

 そうしたなか、在日ミャンマー人や日本の市民グループは、外務省や在日ミャンマー大使館前などで、ミャンマーの軍政に抗議する集会を開きました。また、神戸市の三宮センター街では、民族衣装をまとった関西在住のミャンマー人たち約20人が抗議集会を開きました。

 日本政府に対しては、民主派による国民統一政府(NUG)を正式な政府として認めるとともに、国軍の資金源になるかもしれない政府開発援助(ODA)の停止を求めました。

 日本はミャンマーにとって最大の援助国であり、公的資金によるミャンマーでの民間事業への出資・貸付により様々なビジネスが展開されています。そのなかには、国軍を利する可能性のあるものが存在しています。そうした現状に対して、メコン・ウォッチや国際環境NGO FoE Japanなど5団体は、ミャンマー国軍の資金源につながるような援助やビジネスの即時停止を求めてきました。しかし、日本政府は1年経過しても具体的な行動に出ていません。

 5団体は、日本政府に国軍への資金源を断つよう行動することを要請するオンライン署名を2021年12月から呼びかけたところ、国内外から13,000筆超の署名が集まりました。5団体は1月31日から2月1日にかけて、外務省や財務省、経済産業省、国土交通省にそれぞれ提出しました。


<出典>

https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=28069&LangID=E
Myanmar: One year into the coup, Bachelet urges governments and businesses to heed voices of the people, intensify pressure on the military
28 January 2022 OHCHR

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken24_000091.html
林外務大臣会見記録(2022年2月1日 外務省)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page6_000656.html
クーデター後1年のミャンマー情勢について(外務大臣談話)
(2022年2月1日 外務省)

https://foejapan.org/aid/doc/220201_myanmar_report.html
ミャンマー:国軍によるクーデターから1年 日本政府に署名13,201筆を提出「ミャンマー国軍の暴挙を止めるために、日本からの国軍への資金の流れを止めてください」
2022年2月1日 国際環境NGO FoE Japan

(2022年02月04日 掲載)