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人権理事会、「若者」に焦点をあてた「人権教育世界プログラム」行動計画(2020-2024)を採択

 第42会期国連人権理事会が9月9日から27日まで開催され、「人権教育のための世界プログラム」第4段階(2020年~2024年)の行動計画が採択されました。
同会期ではまた、先住民族の権利、発展の権利などについて討議が行われ、ベネズエラにおける恣意的拘禁、強制失踪、拷問などについて調査する委員会の設置などが決議されました。
 
「人権教育のための世界プログラム」第4段階の行動計画
国連は、「人権教育のための世界プログラム」の取り組みを2004年の総会で決議し、5年ごとの段階(フェーズ)で、それぞれ重点領域を決めて進めてきました。第1段階(2005年~2009年)は初等・中等教育、第2段階(2010年~2014年)は高等教育とあらゆるレベルにおける教員、教育者、公務員、法執行官、軍関係者の人権研修、第3段階(2015年~2019年)は第1段階と第2段階の領域に加えて、メディア専門職とジャーナリストへの研修が重点領域として継続してきました。
2018年9月の第39会期人権理事会では、第4段階の重点領域を「若者」として、特に平等、人権と非差別、包摂的で平和な社会のための包摂と多様性の尊重に力点を置くことが決議され、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、その行動計画を作成するよう要請されていました。
OHCHRは、経済社会理事会ユース・フォーラムとの協議や国連機関および他の国際組織、各国政府、国内人権機関や市民社会の意見を取り入れ、「人権教育を通した若者のエンパワメント」と題した行動計画を第42会期人権理事会に提出しました。
この計画は、これまでの段階の成果をさらに進め、若者が指導的役割を担い、差別なく、すべての若者を含む、若者のための持続可能な人権教育の国内戦略の開発と実施を促しています。また排除されたり不利な状況にある若者を優先し、学校などフォーマルな教育、および学校以外のイノンフォーマルな教育における若者による、若者との、若者のための人権教育を拡大することを促しています。
さらに、人権教育のための主要な要素および行動についての指針を提供すること、若者のための人権教育プログラムへの若者の参加およびリーダーシップを促すことなどを具体的な目的としてあげています。
主要な要素として、人権教育に関する立法、包括的な実施措置、モニタリングなどの政策および実施措置、世界人権宣言や「人権教育および研修に関する宣言」に基づいて、若者が自分の権利を行使し、他の人の権利を尊重し、支持することができるようにする知識、スキル、態度などの学習プロセスやツールの開発、および教員研修に加え、学校外での教育やピア学習などに関わる教育者の研修、家族や地域を含む人権教育を可能にする学習環境の確保をあげています。
さらに、政府機関、国内人権機関、若者の代表、人権教育などに取り組む市民社会組織、教育機関、教員組合などが参加する調整機関を国内に設置し、若者のための人権教育の基礎調査(ベースラインスタディ)を実施すること、若者のための人権教育促進のための国内戦略を開発すること、および戦略を実施・モニター・評価するというステップを提示しています。
人権理事会は、各国に対して、計画を実施し、行動計画に示されるように2022年に進捗に関する中間報告を、また2025年に最終的な評価報告をOHCHRに提出するよう呼びかける決議を採択しました。また、理事会の第48会期に「人権教育および研修に関する宣言」の10周年を記念するハイ・レベル・パネル・ディスカッションを開催することを決めています。
(※国連は若者=youthの定義を明確にはしていませんが、通常15歳から24歳までの人をさすと説明しています。)
 
発展の権利
 2018年の第39会期人権理事会は、発展の権利作業部会に拘束力のある文書の起草を開始するよう要請しました。作業部会は第42会期、起草について議論した報告を提出しました。議論において、EUや日本は、拘束力のある文書の起草については反対を表明しています。理事会は42会期、作業部会の議長に発展の権利に関する文書案を提出し、それをもとに討議を始めるよう要請する決議を採択しました。また、この決議で、発展の権利の実施を促進するためにベストプラクティスを集めて、各国と共有するための、5人の専門家による専門家機構を設置することが決められています。
 
有害物質からの労働者の保護
 「有害物質・廃棄物の環境上安全な管理及び廃棄の人権に対する影響に関する特別報告者」が、歴代の特別報告者も含む、これまでの各国訪問や提供された情報や関係者との協議をもとに、労働者の有毒物質からの保護に関する15の原則を含む報告を提出しました。
 報告は、安全で健康的な労働条件が社会権規約第7条にあげられる、「公正かつ良好な労働条件」の側面として国際的に認められた人権であり、生命、健康などの権利や、情報を得る権利、表現、集会、結社の自由とも関連していながら、国際労働機関(ILO)によると、世界で毎年278万人が危険、または不健康な労働条件のために亡くなっていると述べています。今回の原則で言及される労働者には、直接雇用される労働者だけでなく、下請労働者、派遣労働者など非正規労働者も含まれます。
同原則は、国家には有毒物質にさらされることを防止することによって労働者の人権を保護する義務がある、企業には職場で有毒物質にさらされることを防止する責任がある、労働者が有毒物質にさらされることを防止する義務や責任は国境を越える、労働者には自分の権利を含め、知る権利を有する、有毒物質に関する健康・安全情報は秘密であってはならない、労働者、労働者代表や公益通報者などは威嚇や報復から保護されなければならないなど、有毒物質にさらされることを防止する義務と責任に関する11の原則と、労働者またはその家族が有効な救済にアクセスするのに、病気または障害の因果関係の立証責任を負うべきではないなどの実効的な救済に関する4つの原則で構成されています。
 理事会はこの15原則を含む報告に感謝をもって留意し、各国、企業などに原則を実施することを促す決議を採択しました。
 
先住民族の権利
 第42会期には、先住民族の権利に関する専門家機構の年次報告、「先住民族の権利に関する特別報告者」による、先住民族の司法へのアクセスに関する報告が提出されたほか、2019年が国際先住民族言語年であったことを受けて、先住民族の言語の促進と保護に関するパネル・ディスカッションが開催されました。また、人権理事会は決議において、専門家機構など先住民族に関する特別手続きを含む人権理事会の活動への先住民族の代表の参加を促進するための措置を話し合うラウンドテーブルの設置を決め、各国に先住民族の権利宣言の実現などを呼びかけました。
 
ベネズエラの人権状況
 会期の冒頭に行われたバチェレ人権高等弁務官の口頭報告で、ベネズエラにおいて、政府に対する抗議行動を行う人たちの殺害、恣意的拘禁、拷問などについて改善が見られたものの、労働運動指導者の有罪宣告、議員の不逮捕特権はく奪などが続いていること、経済状況が悪化し、さらに経済制裁により一段と食料、医療などについて深刻な事態になっていること、430万人のベネズエラ人が難民や移民となっていることなどがあげられました。
 人権理事会は、ベネズエラにおける政治的理由による弾圧や迫害を非難し、政府に対し直ちに政治的な理由で収容されている人を解放し、抗議行動に対する過剰な武力の使用を停止・防止することなどを求め、超法規的処刑、強制失踪、恣意的拘禁、拷問などを調査するための国際的な事実調査委員会を1年の期限で設置し、ベネズエラに派遣するという決議を採択しました。また、別の決議で、OHCHRにベネズエラのすべての拘禁施設への訪問を認め、司法制度および人権の保護のための制度を強化することを含むベネズエラ政府と人権高等弁務官との9月20日の覚書を歓迎し、ベネズエラの人びとの状況をさらに悪化させる一方的な制裁措置に対して懸念表明しています。
 人権理事会は、他にもイエメンの人権状況、ミャンマーにおけるロヒンギャおよび他のマイノリティの人権状況、シリアの人権状況などについて決議しています。
 
(構成・岡田仁子)
 
<出典>
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RegularSessions/Session42/Pages/ResDecStat.aspx
42nd session of the Human Rights Council: Resolutions, decisions and President’s statementsOHCHR
 
https://ap.ohchr.org/documents/dpage_e.aspx?si=A/HRC/42/23
Fourth phase (2020-2024) of the World Programme for Human Rights Education
 
<参照>
https://www.hurights.or.jp/archives/promotion-of-education/post-5.html
「人権教育および研修に関する国連宣言」の翻訳(ヒューライツ大阪)
 
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2018/10/post-8.html
「人権教育世界プログラム」第4段階(2020-2024)決まる−人権理事会」(2018年10月)ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ