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自由権規約委員会、日本の報告書提出に先立つ質問リスト(LOIPR)を公表(11月30日)

 国連自由権規約委員会は、第121会期(10月16日~11月10日)の11月2日、日本の第7回定期報告の提出に先立つ質問リスト(事前リスト・オブ・イシュー)を採択し、11月24日付として公表しました(国連ウェブサイトには11月30日掲載)。
「政治的及び市民的権利に関する国際規約」(自由権規約)の締約国は、規約の実施状況や実施のためにとった措置について定期的に報告することが求められ、委員会は提出された報告をもとに、締約国との対話を通して審査を行います。
これまでのプロセスにおいて、締約国の報告提出後、委員会からさらに質問リスト(LOI)が出され、情報の提供が要請されました。そうしたなか、委員会は2009年、報告の提出前に質問リストを作成し、締約国はそのリストに回答する形で報告するという方式の簡易化した審査過程を決めました。2回目以降の報告を提出する締約国は、この簡易化された過程を利用することができます。
 日本については、第6回報告が2014年に審査されましたが、次回第7回報告は、報告前リストによる過程に基づき、このたび事前質問リストが公表されたといういきさつです。
 委員会は、今回の質問リストに答える形で報告書を作成するよう日本政府に求めています。質問リストには概要以下の項目があげられています(数字はパラグラフ番号)。
 
全般的な情報
1. 第6回(2014年)審査後に出された総括所見の勧告の実施のためにとられた措置:
人権保護・伸長についてのその他の重要な進展、規約の権利を言及した裁判判例、規約に関する法曹関係者に対する研修など。
 
法制度
2. 個人通報制度に関する本規約第一選択議定書の批准に向けた現状
3. 憲法改正案が、基本的人権の不可侵性を規定する97条の廃止を提案していることについての政府の見解
4. パリ原則に基づく国内人権機関設立に向けた進捗状況
 
差別禁止および民族・人種・宗教的憎悪の扇動の禁止
5. 包括的差別禁止法制定に向けた進捗状況
6. マイノリティに対する差別、ヘイトスピーチについて:ヘイトスピーチ解消法がヘイトスピーチを直接禁止せず、処罰していないことの懸念について。その他人種の優位性、人種憎悪の扇動禁止などのためにとられた措置。ヘイトクライムの件数や対応について。
7. 政治家の同性愛嫌悪、トランスジェンダー嫌悪の言論への取り組みの進展:LGBTIの自殺への取り組み。同性婚、性別変更のための要件。トランスジェンダーの受刑者への処遇について。
 
男女平等
8. 再婚禁止期間、女性の婚姻最低年齢の16歳から18歳への引き上げ。夫婦同姓の改正の検討。部落、アイヌ、在日コリアンなどマイノリティ女性を含む女性の政治参加の拡大の進展。
 
緊急事態とテロ対策
9. 憲法改正案の緊急事態に関する条項について、緊急時においても逸脱してはならない権利に関する規約第4条と適合するようとられた措置について。組織犯罪処罰法(’共謀罪’)が表現、集会、および結社の自由を不当に制限し、公正な裁判の権利、身体の自由などの侵害につながり得る、テロや組織犯罪に関連しないような犯罪が対象として含まれることなどの懸念について。
 
性暴力、DVを含む女性に対する暴力
10. ドメスティック・バイオレンスについてとられた、緊急保護命令、ドメスティック・バイオレンスの被害者の移住女性およびマイノリティ女性に対する在留資格の保障などを含む措置。性犯罪について、レイプの定義の拡大、親告罪の廃止、性的同意年齢の引き上げ、配偶者間レイプなどについてとられた措置。
 
生命の権利、拷問等禁止、公正な裁判、子どもの権利
11. 死刑廃止に向けて取られた措置。執行日の本人、家族への事前通知、独居拘禁の原則禁止などに向けて取られた措置。死刑が科される事件について義務的上訴などについて。
12. 2016年の刑事訴訟法改正により、弁護人に検察の証拠のすべての開示が確保されるかどうか、すべての事件について適用されるかどうかについて:取り調べの録音・録画がされる率、逮捕前の聴収についても適用されるかどうか。少年事件において、すべての少年に国選弁護人を付けることを計画しているかどうかについて。
13. 福島原発事故における2017年3月の避難指示地域の解除による住民の生命、健康へのリスク、住宅支援の廃止などの懸念について:原発事故以降、子どもの甲状腺がんの率が拡大していることなどについて。
14. 旧優生保護法の下の障害のある人に対する強制不妊手術について、責任者の訴追、被害者への救済などのためにとられた措置。
 
身体の自由、拘禁下にある人の処遇
15. 精神障害のある人の非自発的入院が必要最低限であること、精神科の施設への実効的で独立したモニタリング・報告制度の整備、障害者虐待防止法の精神科施設への適用のためにとられた措置。
16. 代用監獄の廃止、または規約第9条、第14条との適合のためにとられた措置:起訴前勾留の代替措置が検討され、実施されているかどうか:すべての取り調べにおける弁護人の立会い。取り調べの時間制限、手段の制限。取り調べ中の拷問、虐待を捜査する独立した機関などについて。
17. 矯正施設における独居拘禁。医療。外部との接触の制限、無期刑の仮釈放について。
 
奴隷制、人身取引
18. 「従軍慰安婦」問題について、2015年の日韓合意以降、とられた措置について。
19. 性的搾取、強制労働のための人身売買に対してとられた措置について。
20. 技能実習生の強制帰国や低賃金労働に対して、立法も含め、とられた措置。実施機関による強制的実習の禁止の措置。低賃金実習生の採用を防止するための措置。立ち入り調査を増やす措置。外国人技能実習機構の人員確保について。独立した苦情申し立て制度をつくるための措置などについて。
 
外国人、難民・庇護申請者の処遇
21. 強制送還中の虐待防止。公正で実効的な難民審査制度:難民不認定に対する審査。難民参与員、裁判所の意見を誠実に取り入れること。難民申請者の収容が最後の手段として、かつ最短の期間で行われること。収容代替措置の実施。包括的な難民に関する法制度の整備について。2017年3月のベトナム人収容者の死亡につながったとされる入管センターにおける医療の不備について。
 
プライバシーの権利
22. ムスリムの人を対象とした広範な監視、情報収集活動を防止する措置;不法な監視に対する救済などについて。
 
思想・良心・信仰・表現の自由
23. 「公共の福祉」の概念を明確化し、思想、良心、宗教、表現の自由の制限につながらないよう確保するためにとられた措置。
24. 憲法改正案の第21条に関する案と規約の適合性について;メディアの自主規制につながる、メディアへの政府の圧力、たとえば植村隆さんなど政府に批判的なジャーナリストに対するハラスメントが報告されていることについて。
25. 特定秘密保護法の下で指定される情報の定義が厳格に行われ、情報の収集、受発信の権利の制限が具体的な国家の安全の脅威を防止する目的に均衡して、必要であることを確保し、いかなる人も国家の安全を害しない正当な公益のための情報発信で処罰されないことを確保するための措置:同法の監視制度が十分独立しておらず、秘密指定の適切性について判断する十分な情報がないという報告について。秘密指定に関して内部告発が公益通報者保護法の下で保護されるかどうかについて。
26. 東京都教育委員会の2003年の10.23通達(都立学校における入学・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱の義務化)の実施にとられた措置と規約の適合性について。
 
集会の権利
27. 特に国会や沖縄において、デモに対してとられたと報告される、過剰な制限や、ジャーナリストを含む参加者の逮捕、不均衡な処罰など不当な規制について。
 
公的生活に参加する権利(参政権)
28. 懲役刑など矯正施設に収容される人の投票権の禁止について。在日コリアンなど永住権をもつ外国籍住民に対して地方選挙の選挙権を付与することを検討しているかどうかについて。
 
マイノリティの権利
29. アイヌ、琉球・沖縄のコミュニティの伝統的な土地および天然資源に対する権利を保障し、それぞれのコミュニティに影響を及ぼす政策について、自由で事前の、十分な情報を得た参加の権利を確保し、それぞれの言語による教育を促進するよう関連する法を整備するためにとられた措置について。
30. 植民地時代から日本に住む朝鮮半島からの住民及びその子孫を民族的マイノリティと認め、社会保障、政治的権利の行使を含む規約の権利を差別なく保護するためにとられた措置について。高校無償化制度からの朝鮮学校の排除について。高齢、および障害のある在日コリアンの国民年金からの排除について。
 
(構成・岡田仁子、藤本伸樹)
<出典>
List of issues prior to submission of the seventh periodic report of Japan (CCPR/C/JPN/ZPR/7)
http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2fQPR%2f7&Lang=en
 
<参照>
http://imadr.net/ccpr-loipr-japan/ 反差別国際運動(IMADR)
自由権規約委員会  日本の人権政策に厳しい問いかけ 質問リストの部分仮訳(IMADR).pdf
 
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2017/09/2014-98.html
「自由権規約委員会、2014年日本報告審査以降の フォローアップ文書を国連人権理事会に提出(9月8日)」ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ(2017年9月)

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