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ミャンマーの経済特区開発と住民移転の課題

日本の官民連携によるティラワ経済特区の開発
日本政府とJICA(国際協力機構)は2011年の民政移管以降、ミャンマーのティラワ経済特別区(工業団地)の開発を目的に、円借款や無償資金協力、技術協力などのODA(政府開発援助)を通じて、周辺地域の電力、水、通信、道路、橋及び港湾などのインフラ整備を行っています。
 開発援助と並行して、住友商事、丸紅、三菱商事の3つの日本企業が地元資本と共同で、ミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメント社(MJTD)を設立し、この経済特別区(SEZ)の開発・運営を行っています。
JICAによると、2017年7月末までに、17カ国・地域から79社(うち39社が日本企業)が工業団地への進出を決定し、34社が操業を開始しています。最初のZone A区域(約400ha)の開発・運営が進むなか、Zone B区域フェーズ1(約100ha)の開発が2017年2月に着工、2018年中頃の開業の予定です。JICAは海外投融資業務の一環として、工業団地の開発・販売・運営に必要な資金について、MJTD社向けの融資を通じた支援も行っています。
 そのように、ティラワ経済特区開発は、日本の官民連携で進められていますが、地元では用地取得、住民移転、移転後の生計回復など多くの課題が生じています。
開発から置き去りにされる地元住民
そうしたなか、対象地の住民の置かれた状況を実地調査・支援しているNPO法人メコン・ウォッチは11月26日に京都で特区開発の現状に関する報告会を開きました。当初から現場を調査している土川実鳴さんは概要以下の報告をしました。
2013年1月31日、ミャンマー政府が突然、約1,000世帯に対して立ち退き通告を出しました。予定地から14日以内の立ち退くこと、立ち退かない場合は30日間拘束するという強権的な通告でした。結局、住民は移転することになりました。ミャンマー政府は、移転地を準備したものの、2013年11月の着工時、移転地はまだ整備できていませんでした。
農業に適した代替農地も提示されませんでした。代替の生計手段なく、借金に追われながら移転地を出ていかざるをえない人たちが出現したのです。
2014年6月、住民 3名が来日し、国際協力機構(JICA)に対して、開発に伴う農地喪失や生活手段の喪失などの被害を示すとともに、解決策を求める異議申立書を提出しました。しかし、同年11月JICAは、自らの「環境社会配慮ガイドライン」には違反していないとの報告書を出しました。一方、生計手段の喪失事実は認め、改善提言を行ったのです。それに基づき、2015年から①生計福祉支援プログラム 300万チャット(30万円)、②マイクロファイナンス(小口融資)、③職業訓練などが行われています。しかし、生活水準は改善せず、移転後に借金の抵当で家屋を売却せざるを得なくなった人たちが存在します。開発が進む中、これから立ち退きに直面する人たちがまだたくさんいます。
<参考>
https://www.jica.go.jp/press/2017/20170817_01.html
ティラワ経済特別区(SEZ)第二期開発に対する海外投融資貸付契約の調印:投資環境整備や雇用創出を促進し、経済社会の発展に貢献  2017年8月17日(JICA)
https://www.jica.go.jp/press/2016/20161021_01.html
ティラワ経済特別区(SEZ)の更なる開発の実施について関係者が合意:官民連携を通じてミャンマーへの一層の外国企業の進出をサポート 2016年10月21日(JICA)
http://www.mekongwatch.org/report/burma/thilawa.html
ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業 (メコン・ウオッチ)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/sectiion3/2014/07/jica-1.html
ビルマ(ミャンマー)の移転住民がJICAに異議申し立て -「ティラワ経済特別区開発」で生活悪化   土川実鳴(メコン・ウォッチ委託研究員) 国際人権ひろば No.116(20147月発行号)

(2017年11月28日 掲載)