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第35会期国連人権理事会(6月6日―23日)の概要:「表現の自由」特別報告者の報告、移住者および難民に関する「グローバル・コンパクト」の採択に向けて

 国連人権理事会第35会期が201766日から23日まで開催され、「表現の自由」特別報告者(デビット・ケイ氏)および「性的指向および性自認に基づく差別および暴力からの保護に関する特別報告者」の報告書の提出、移住者および難民に関する「グローバル・コンパクト」の採択に向けた議論、ハンセン病患者、元患者などに対する差別撤廃に関する特別報告者の設置、コンゴ民主共和国への調査団派遣などを決めました。
 
意見・表現の自由-特別報告者と日本との対話
「意見・表現の自由の促進と保護に関する特別報告者」は、デジタル時代の意見・表現の自由に関する報告を提出しました。インターネット上での意見・表現の自由を保護するために各国がとるべき措置、および情報・通信技術に関わる民間企業や業者の役割についてとりあげています。
また、日本、タジキスタン、トルコへの公式訪問に関する報告が提出されていました。
日本については、意見および表現の自由に関して、強固な法的基盤があり、インターネット上の自由に関し、政府の干渉がほとんどないものの、放送事業者に対し、放送番組の編集にあたり、政治的に公平であることなどの要件を規定する放送法第4条について、政府による干渉の根拠となり得ること、記者クラブ制について参加できるジャーナリストを最大限広げるために検討することを勧告しています。
また、沖縄での抗議行動について、デモなどの抗議行動を認め、それらの活動に関するメディア報道を認めること、学校教科書における第二次世界大戦の日本の関与を含む歴史の記載について、政府が干渉を控えることなどを勧告しています。
タジキスタンについて、特別報告者は同国が治安上の課題を抱えていることに留意しながらも、メディアに対する圧力やインターネットの検閲、政府に対する反対意見の厳格な制限などについて懸念があることを指摘しました。
トルコについて、クーデター未遂を含む、治安上の懸念があることに留意しつつ、非常事態宣言下で拘束されているジャーナリスト、裁判官、研究者などの解放、閉鎖されたメディアの回復などを勧告しています。
 
特別報告者と各国との対話では、日本政府はジャーナリストに対して違法な圧力をかけた事実はなく、放送法によって停止を命じられた放送事業者はないことなどを発言しました。タジキスタンは、報告が事実に基づいていないと主張し、トルコは特別報告者の訪問がクーデター未遂の4ヵ月後であり、捜査の対象となったジャーナリストも、その報道のためではなく、テロ組織との関連で捜査されたなどとして、3国とも報告者に対して反論しています。
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=21731&LangID=E(特別報告者との対話について(英語)
<参照>https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2017/06/post-143.html
国連人権理事会が任命した特別報告者の見解と日本政府の姿勢(ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ)

移住者および難民に関する「グローバル・コンパクト」の採択に向けて
20169月、第71回国連総会において、「難民と移民に関するサミット」が開催され、増加する難民および移住者に関する各国のコミットメントを掲げたニューヨーク宣言(総会決議71/1)が採択されました。その中で、「難民に関するグローバル・コンパクト」を国連難民高等弁務官事務所が中心となって、また「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」を政府間交渉を通して、それぞれ2018年の採択に向けて作成することを決めています。
人権理事会は、移住に関するグローバル・コンパクトについて、人間を中心においた、尊厳のある、ジェンダーに配慮した移住者の受け入れ、および移住者の人権の尊重を確保するための包括的アプローチの重要性を強調し、各国は国境において出入国管理および安全保障措置をとる権限がある一方、脆弱な立場にある人を含む移住者の人権を尊重する国際人権法および難民法上の義務があることを再確認する決議を採択しました。
その決議では、NGOや市民社会組織などに、グローバル・コンパクトのための政府間交渉の準備過程として開催されるテーマ別非公式会議や非公式公聴会に参加するよう呼びかけ、人権条約機関や特別報告者などに、政府間交渉およびその準備過程を支援するよう促しています。また人権高等弁務官に対しても、グローバル・コンパクトに人権が取り入れられ、主流化されるよう、準備過程に参加し、人権理事会からの情報や意見などを準備過程に提出するよう要請しています。
 
さらに、人権と気候変動に関する決議において、グローバル・コンパクト作成の政府間交渉の第二段階が開始される前に、「人権、気候変動、移住者および国境を越えて避難する人々」に関するパネル・ディスカッションを開催し、その報告を政府間交渉の準備過程に含めるよう図ることなどが決められました。
このテーマに関連して、会期中、保護者が同伴しない子どもの移住者に関するパネル・ディスカッションが開催されました。子どもの権利委員会や人権理事会の諮問委員会の委員、元当事者などがパネリストとして参加し、紛争や暴力を逃れる人々が増えるなか、子どもだけで移動する、または移動の途中で大人とはぐれてしまう子どもが増えていることが報告され、子どもたちが直面する危険や受け入れ態勢、手続きの不備などの課題が議論されました。
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=21720&LangID=E (保護者が同伴しない子どもの移住者に関するパネル・ディスカッション(英語)
<参照> http://www.unic.or.jp/news_press/info/20679/
世界のリーダー、国連サミットで難民と移民の保護強化に向けた“大胆”な計画を採択  国連広報センタープレスリリース 16-086-J2016922

性的指向および性自認に基づく差別および暴力
今会期では、2016年に設置された、「性的指向および性自認に基づく差別および暴力からの保護に関する特別報告者」の初めての報告が提出され、各国との対話が行われました。報告は、この問題に関する国際人権基準の実施、暴力と差別の認識、暴力と差別の複合的、交差的形態についてなどを説明し、暴力と差別の防止に向けた要素として、同意の下での同性間性的関係の非犯罪化、実効的な差別禁止措置、ジェンダー自認の法的な承認、脱病理化と結びついた非スティグマ化、社会・文化的包摂、教育と共感の促進をあげています。
一方、この問題に関する特別手続きの設置には反対する国も多く、今回の対話においても、イスラム協力機構は、特別手続きを認めない旨、発言しています。
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=21691&LangID=E(英語)
 
ハンセン病患者、元患者などに対する差別撤廃
2010年、人権理事会の要請を受けて設置された人権諸問題について調査や検討を行う人権理事会の諮問委員会は、ハンセン病患者、元患者およびその家族などに対する差別撤廃に関する原則および指針を策定し、同年その原則・指針は人権理事会および総会によって採択されました。
さらに諮問委員会は、原則・指針の実施について調査を行い、報告するという2015年の人権理事会の要請を受け、予備報告において、原則・指針の実施をフォローし、各国の実施の進歩や取られた措置について報告する特別手続きの設置を勧告していました。
人権理事会は、この問題に関し特別報告者を任命し、各国による原則・指針の実施の進捗についてフォローし、報告すること、各国政府および国連機関、地域人権機関、国内人権機関、NGOなどとの対話や協議を通してグッド・プラクティスの共有、促進を図ることなどを要請することを決議しました。
 
コンゴへの調査団
人権理事会はコンゴ民主共和国中部のカサイ地方に調査団を派遣することを決議しました。この地方では20168月、蜂起を呼びかけた同地方の指導者が殺害された後、
政府軍との武力紛争が続き、多くの人が殺害され、集団墓地が見つかったこと、学校が襲撃されていることなどが報告されています。
人権理事会は人権および人道法違反に関する情報の収集および保存、事実認定を行い、その結果をコンゴ民主共和国の司法当局に送致するため、地域の専門家を含む調査団を派遣し、第37会期に調査団との対話を行うこととし、人権高等弁務官に第38会期には調査団の調査報告を提出するよう要請しました。
 
人権理事会はそのほか、2018年に世界人権宣言70周年、「ウィーン宣言および行動計画」25周年を記念するハイ・レベル・パネル・ディスカッションを開催すること、子どもの結婚、強制結婚に関する情報を集めたポータル・サイトをつくることを人権高等弁務官に要請することやシリアの状況などに関する決議を採択しました。
 
(抄訳:岡田仁子、編集:藤本伸樹)

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