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検察が取調べの一部録音・録画を全国で本格試行

 検察庁は06年より、検察による取調べの一部を録音・録画することを発表し、一部の地検で試行が始まっていました。08年3月、最高検察庁は試行の検証結果を発表し、録音・録画が自白の任意性を立証するのに有用であったとして、08年4 月から全国の地検で本格施行を行う予定であることを明らかにしました。また、それにあたり、「指針」も作成しています。 取調べの一部録音・録画は、裁判員制度の開始に向けて、自白供述書が強要されたものではなく、任意であることを立証する方策として、試行が始まりました。 最高検察庁の検証報告によると、07年12月末までに東京の他、13の地検で170件の取調べ一部録音・録画が行われ、22件が証拠として開示され、公判 で調べられたのは4件です。うち自白の任意性が争われたのは3件で、そのうち2件について、裁判所は録音・録画を調べて任意性があると判断し、1件では否 定しました。
 報告は、検証の結果として、取調べの一部録音・録画が自白の任意性を判断する有効で効率的な証拠であるとしましたが、まだ裁判所で取りあげられた事例が 少ないことから、事例の集積を待ってさらに検討する必要があることを挙げています。また、録音・録画が一部であっても、途中で検察官の都合で一方的に終了 しない、被疑者に自由に供述する機会が与えられるなどから、取調べの適正確保に一定の効果があるとみて、取調べ全体の録音・録画については、事件の真相解 明機能が阻害されるなどの理由から否定的な見解が出されています。
 「指針」によると、4月からの本格的な試行は、裁判員による裁判の対象となる事件で、自白調書が証拠請求されることが見込まれる事件を、被疑者が拒否し た場合を除いて、全国で行われます。組織犯罪などのように、関係者の保護や協力確保に支障があるおそれがある場合や、通訳を必要とする事件で通訳人の協力 を得られない場合やその他物理的に録音・録画が困難である場合などは例外とされています。また、録音・録画の内容については、被疑者の自白の後に行う取調 べで、自白の動機や取調べの状況、調書の作成過程などに関する検察官とのやりとり、被疑者が自白調書の内容を確認し、署名する場面など自白の任意性に関わ る場面とされています。また、録音・録画を同時に行い、検察官の開始、終了を告げる場面も録音・録画すること、一方的に終了しないことなどがあげられてい ます。
 自由権規約委員会や拷問禁止委員会は、警察におけるすべての取調べの録音・録画を勧告しています。警察も1月に取調べの適正化に関して方針を公表し、その実施に向けた公安委員会規則案を作成しましたが、録音・録画について は含まれていませんでした。 (2008年3月28日)

出所:
・「取調べの録画・録音の試行の検証について」最高検察庁
・「警察捜査における取調べの適正化について」警察庁
http://www.npa.go.jp/keiji/keiki/torishirabe/index.htm

参考:
「検察が取調べの一部録音・録画を施行」
ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2006年6月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section2/2006/06/post-123.html
「警察の取調べに関する適正化指針」
ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2008年1月)
http://https://www.hurights.or.jp/news/t/0802/01.html

(2008年03月06日 掲載)