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「子どもに対する暴力」に関する国連事務総長研究が公表される

  06年10月11日、「子どもに対する暴力」に関する国連事務総長研究が総会第三委員会において公表されました。 この報告は、01年、子どもの権利委員会の要請を受け、総会が国連事務総長に対して、子どもに対する暴力に関して調査を行い、各国がとることのできる措置 を勧告するよう求めて採択した決議56/138に基づき、03年任命されたセルジオ・ピネイロ独立専門家が中心となり、国連人権高等弁務官事務所、ユニセ フ、世界保健機構などが協力してまとめられました。同研究は世界各地において子どもが受ける暴力の性質、程度、原因、およびその防止、撲滅のための勧告を 含んだものです。
  この研究は、 家庭内、家族間での暴力、学校など教育の場での暴力、法に違反した場合など他の施設にいる子どもに対する暴力、社会や路上での暴力に焦点を当て、子どもに 対する暴力が、世界のどの国や社会にも存在していること、大きな事件にならない日常的な些細な暴力でも子どもに対して自尊心や信頼関係を損なうなどの影響 を及ぼすことを指摘しています。
  また、男の子の方が肉体的暴力を受けやすく、女の子は性的虐待や強制売春の危険がより高いほか、低所得の国の子どもは高所得の国の子どもよりも殺人で死亡 する確率が高いこと、障害、マイノリティへの帰属、路上生活、法律違反などによるなど特定の集団に帰属することで、より暴力を受けやすい子どもがいます。 暴力により、子ども自身の健康や社会生活上の問題が生じ、成長した後に暴力の被害者や加害者になりやすいこともあげられています。また、社会では貧困、非 識字が継続し、発展が阻害されることになります。一方、家族内の大人との安定した関係、親との信頼関係や友達との支え合いなどにより、暴力の被害者となっ た子どもの回復能力を高める要因になることもあげられています。
  最後に、現実的な期限を付けた行動計画や戦略をつくること、子どもに対するあらゆる暴力を禁止すること、体罰の容認など暴力を容認し、奨励するような態度 を変えるために行動をとること、関係者の教育、安全な通報制度、責任者の追求などの一般的な勧告のほか、家庭内や教育の場などそれぞれの状況に応じた勧 告、さらには国内に子どもを代表するオンブズマンなど、国連においては、子どもに対する暴力に関する国連事務総長の特別代表を設置することなどを勧告して います。
  この研究で、子どもに対する暴力の多くが家庭内において、保護者や子どもの世話をしている人によって行われることが指摘されていることから、世界保健機構は16日、政府、研究所やNGOで子どもの虐待に取り組む人のために、「子どもの虐待を防止する:行動と証拠収集のためのガイド」を公表しました。このガイドは、子どもの虐待の程度を測り、防止プログラムを作成、実施、評価することを技術的に支援するものです。

出所:
"UN Secretary-general's Study Reveals Full Range and Scale of Violence Against Children" 国連人権高等弁務官事務所10月12日付プレスリリース HR/06/126 (英語)
「子どもに対する暴力」に関する国連事務総長研究 (英語)
「子どもに対する暴力」に関する国連研究-パウロ・セルジオ・ピネイロ氏による最終報告書「結論」抄訳 ARC平野裕二の子どもの権利・国際情報サイト
"World Health Organization says violence against children can and must be prevented" 世界保健機構10月16日付プレスリリース (英語)

(2006年10月08日 掲載)