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国連平和維持活動に関わる性的搾取・虐待に対する取組

  安全保障理事会は5月31日、国連の平和維持活動従事者による性的搾取、性的虐待について、既存および今後の活動を決議するにあたってそのような行為の防止、モニタリング、調査および報告に関する規定を含めることを検討するとしました(S/PRST/2005/21)。
  国連の調査によると、2004年には国連スタッフによる性的搾取・虐待の訴えが121件あり、そのうちの105件が平和維持活動に関わるものでした (A/59/782)。05年になってからも、コンゴ、リベリア、ブルンジなどで平和維持活動要員による性的搾取・虐待が訴えられ調査されています。各国 から派遣される部隊の要員については、訴追、処罰する管轄権が派遣国にあり、国連は派遣国に捜査、訴追を要請することしかできませんでした。
  アナン国連事務総長は04年7月、ヨルダン国連代表部のゼイド王子に事務総長の顧問として平和維持活動の性的搾取・虐待に関する規則手続の現状、課題およ び勧告を含めた報告作成を要請し、その報告が05年3月総会に提出されています(A/59/710)。報告では、平和維持に関わる要員の所属や地位が民 間、軍人を含めて様々で、服する規則が異なること、訴えを受けて行われる調査の専門性が十分ではなく、各国で行われる基礎・訴追を維持する十分な証拠を提 供し得ないこと、あるいは機密保持の規則により調査結果の書類を各国に開示できないことなどの問題があることが指摘されています。それに対して報告は勧告 として、平和維持活動に関わるボランティアや民間契約業者も含めた全ての要員に性的搾取・虐待に関する規則を適用すること、軍の派遣国にそれらの規則が拘 束力を持つことを確保することをその国と国連が交わす覚書に含めること、性的搾取・虐待を調査する常設で専門的な機関を設置すること、調査には当該派遣国 の専門家、できれば検察が参加することなどのほか、加害者が被害者の補償義務を負うことを確保すること、特にDNA鑑定などにより父親の特定を行い、子ど もの扶養義務を負うことを確保することなどをあげています。刑事責任については、部隊派遣国との覚書に、特権免除との引き替えに必ず刑事管轄権を行使する という保障を含めることなどを勧告しています。
  国連総会の平和維持活動特別委員会(第4委員会)はその報告を受け、事務総長の会報(ST/SGB/2003/13)に掲載された性的搾取・虐待からの保 護のための特別措置に関する基準を平和維持活動に関わるあらゆる要員に適用される規則として総会が承認すること、要員に対する研修を実施すること、女性の 参加を拡大すること、性的搾取・虐待を防止する環境をつくることを平和維持活動の責任者、司令官の責任とすること、要員の娯楽・福祉ニーズに配慮するこ と、事務局の平和維持部に基準の徹底をはかり、適宜助言を行うために性的搾取・虐待を含めた不行跡・職権乱用に対応するスタッフをおくこと、調査のための 独立した専門的機能をもつことなどを勧告しました(A/59/19/Add.1)。

参考:
 国連安全保障理事会議長ステートメント2005/21(英語)
 5月31日付プレスリリース(英語)
 国連事務局平和維持部ベスト・プラクティス課(英語)

(2005年06月03日 掲載)