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ミャンマーにおける人権侵害関与をめぐるユノカル社事件が和解合意する

  ミャンマーの天然ガス・パイプライン建設の際の強制労働、強姦、殺人などについて米国の石油会社ユノカルを米国の連邦裁判所で訴えていたDoe v. Unocal事件で、12月、当事者が和解に合意しました。ユノカルおよびその子会社は1992年、ミャンマーの国営企業とミャンマー沖ヤダナ油田の天然 ガス採掘に関するジョmイントベンチャーを行っていたフランスの石油会社トタルからプロジェクトの28%を取得し、テナセリム地方を通して天然ガス・パイ プラインを建設していました。建設に当たり、ミャンマー軍がユノカルのプロジェクトに対して同社周知の上で警備その他のサービスを提供していました。
  原告はテネサリム地方の住民で、パイプライン建設の強制労働にかり出されたことや、軍による拷問、強姦、殺人などについて、1996年、ロサンゼルスの連 邦地裁に訴えていました。1997年、同地裁はミャンマー軍、および国営企業に対する訴えは主権免除により却下し、2000年、ユノカルに対する訴えも直 接、人権侵害に関わったことを示していないとして退けたことに対し、原告は控訴していました。
  原告はユノカルを外国人不法行為請求法(Alien Tort Claims Act)をはじめとする法律を根拠に訴えていましたが、同法は米国外で起こった外国人に対する不法行為について、それが国家機関によるものであろうと、非 国家行為体によるものであろうとを問わず米国の連邦裁判所に管轄権を付与する法です。フィリピンのマルコス元大統領やボスニア・ヘルツェゴビナのカラ ディッチ元セルビア人指導者などに対する訴訟で援用されていましたが、最近、多国籍企業の海外における人権侵害に対する救済の手段として注目を集めていま す。
  2002年9月、第9巡回控訴裁判所は、ユノカルの人権侵害の教唆・幇助を問い得ると判断しました。[PDF 355KB] 一方、米国政府は、そのような訴訟が多発することが米国の外交政策を損なう懸念があるとして、同法の適用に消極的な意見を裁判所に提出していました。[PDF 159KB]
  2004年12月13日に公表された和解では、会社側が原告に補償を支払い、生活条件、医療、教育などを改善するためのプログラムを開発する資金を提供することになっています。

(2005年01月05日 掲載)