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国際人権ひろば No.133(2017年05月発行号)

ニュース・イン・ブリーフ

「部落地名総鑑」出版とネット公開は禁止!~鳥取ループ・示現舎との裁判~

川口 泰司(かわぐち やすし)
部落解放同盟山口県連合会 書記長

 「鳥取ループ(ブログ名)のM」は、「『同和はタブー』だと思い込んでいる人をおちょくる」ためとして、10年程前から各地の自治体に部落の所在地情報の開示請求をおこない、非開示になると訴訟を繰り返してきた。同時に、ネット上に部落の地名リストや地図、解放同盟員の自宅住所・電話番号・生年月日などの個人情報を晒(さら)してきた。また、「示現舎」という出版社を立ち上げ、同和行政や解放同盟を批判する書籍などを発刊してきた。

 2016年2月上旬、示現舎は『全国部落調査・復刻版~部落地名総鑑の原点~』を出版・販売するためAmazon(通販サイト)で予約受付を開始した。この本は、昭和初期に政府の外郭団体が実施した部落の実態調査の報告書で、全国5300以上の部落の地名・戸数・職業等を記載した非公開の資料である。今回は、過去の地名を現在のものに修正し、『復刻版』を4月1日に出版しようとした。

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 多くの人の抗議により、Amazonは取引中止にしたが、示現舎は他の書店を通して出版を計画。解放同盟からの抗議、東京法務局長からの「説示」を受けても、出版する姿勢を崩さなかった。さらに、ネット上に同書籍のデータを公開し、拡散を扇動した。

 そのため、解放同盟は「出版禁止」と「ネット掲載禁止」を求めた裁判を横浜地裁に起こした。裁判所は2016年3月に「出版禁止」、同年4月に「ネット掲載禁止」の仮処分決定を下した。示現舎は「仮処分決定」の取消を求めた異議申立をおこなってきたが、本年3月16日、異議申立は棄却された。

 今回は、出版・ネット掲載禁止の「仮処分決定」に関わる件であり、本訴は現在も続いている。示現舎は本訴でも「『復刻版』(部落地名総鑑)を出版しても、部落差別はおきない」「学問の自由」等の主張をおこなっている。そのため今回、裁判所が彼らの主張に対して、どのような判断をおこなうのか、注目されていた。

 結果は、基本的に解放同盟の主張が支持された判決であった。今回の判決のポイントとして、同和対策審議会答申、同和対策事業、部落差別解消推進法を踏まえ、

  • 現在もなお、部落差別は存在する。
  • 「復刻版」は法務省が10年かけて回収・焼却処分した「部落地名総鑑と同種のもの」
  • 「復刻版」の出版・ネット掲載は「人格権に対する権利侵害行為である」

 よって、仮処分決定は妥当であるとの決定が下された。この判決に私も、正直、ほっとした。しかし、個人への権利侵害は認められたが、団体(解放同盟)に対する権利侵害(業務遂行権の侵害)は否認された。この点に関しては、解放同盟も異議申立をおこなう。また、示現舎も全面的に不服として再度、異議申立(「保全抗告」)をしている。

 多くの先人たちが「よき日」を求めて闘いとってきた部落解放運動の成果と人権基準を破壊させてはいけない。そのためにも、この裁判は必ず勝たなければいけない。多くの支援者とともに、全力で取り組んでいきたい。

 

※鳥取ループ裁判のサイト
公式サイト「許すな!復刻版出版」http://www.stop- burakuchousa.com/
支援者サイト「ABDARC」https://www.abdarc.net/