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国際人権ひろば No.66(2006年03月発行号)

NEWS IN BRIEF

■米国国務省が、196ヵ国・地域の2005年人権報告を発表


  2006年3月8日、米国国務省は2005年人権報告を公表した。この報告は1961年外国援助法のもとで援助を受ける国と、その他の国連加盟国などにおける国際的に認められた人権の状況について、同法に基づき1977年より毎年作成され、議会に提出されている。報告は米国の在外大使館などがそれぞれの駐在国において政府、軍、ジャーナリスト、人権活動家や労働運動家等から情報を収集してまとめた報告をもとにつくられている。国務省は人権に関する報告以外に、人身売買と宗教の自由に関して国別の報告を毎年作成しているが、これらの報告が特定の権利、事項を取りあげるのに対して、この報告に含まれる人権は市民的、政治的権利が主であるが、結社の自由などの労働権や強制労働、児童労働なども含んだより広い範囲におよんでいる。
  今回の報告書は196カ国・地域の人権状況を含み、それぞれの国について恣意的な逮捕、拘禁されない自由や公平な裁判を受ける権利、移動の自由、選挙や政府の透明性など政治的権利に関わる状況、女性の権利、子どもの権利、障害者の権利、人種、民族などマイノリティの権利について報告している。日本の報告には受刑者などの虐待、女性に対する暴力、子どもの虐待、人身売買、女性、被差別部落出身者、アイヌ、外国人に対する差別などが取りあげられている。
(出典:2005年国務省報告(英語))

■2005年の日本における人身取引被害者数、100人を超える


  警察庁が2006年2月9日に発表した「平成17年中における人身取引事犯の現状について」によると、2005年1年間に国内で保護した人身取引の被害者は、前年より40人増加し、9カ国117人であった。国籍別では、インドネシア44人、フィリピン40人、タイ21人と、この3カ国で全体の90%を占め、他は台湾4人、ルーマニア4人、コロンビア、韓国、オーストラリア、エストニアが各1人。
  入国時の主な在留資格は「興行」が67人、「短期滞在」が12人だった。保護にいたる主な経緯は、大使館やNGO、入国管理局などからの連絡によるもの。一方、加害者の検挙件数は81件で、検挙されたのは83人であった。
  この報告では、「女性たちは、ほとんどの者がホステスとして働かされ、高額の借金を負わされたり、旅券を取り上げられるなどして売春等の性的役務を強要されるなどの取扱いを受けていた」と明らかにしている。
  警察庁では2000年以降、人身取引に関する統計をまとめているが、被害者総数は今回が最多となった。これは、政府が2004年12月に「人身取引対策行動計画」を策定したり、2005年6月の刑法改正で「人身売買罪」が新設され取締りが強化されるとともに、「出入国管理及び難民認定法」の改正により人身取引の被害者と認定された場合、在留特別許可が出されるなど被害者保護の方針が明確化されたことにより、被害者数が増加したものと考えられる。
  一方、警察庁とは別に法務省入国管理局は2月14日、「平成17年における人身取引の被害者について」を公表し、全国の入国管理局が2005年に人身取引の被害者として保護した外国人女性は、6カ国115人(うち6人は18歳未満の子ども)にのぼったことを明らかにした。国籍別ではフィリピン47人、インドネシア41人、タイ17人、コロンビアとルーマニアが各4人、中国2人。そのうち、保護されたときに「不法滞在」状態になっていた47人に対しては在留特別許可を付与したが、そのうち売春を強要されていた被害者は20人であった。
  法務省が人身取引に関する統計を発表したのは今回が初めてのこと。警察庁の発表と国名や数字が少し異なっている。政府から認定された人身取引被害者が実際に何人だったのかを明確にするためには、関係機関の連絡調整が今後の課題だといえそうだ。
(出典:警察庁http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan22/20060209.pdf、法務省のプレスリリース)

■エクソン社、インドネシアのアチェでの虐待を米国で訴えられる


  2005年10月、ワシントンDCの連邦地区裁判所は、11人のアチェ出身のインドネシア人が石油会社エクソン・モービルを訴えている事件で、原告は外国人不法行為請求法に基づいて同社を訴える根拠はないが、州法に基づいて訴えることができるとして裁判の進行を認める判決を出した。
  エクソン社はアチェで天然ガス採掘を行っているが、原告は同社が警備のために雇用などしたインドネシア軍の兵士により拷問、レイプなど虐待を受けたと訴えていた。
  2002年、米国国務省がこの訴訟がインドネシアとの友好関係や同国のテロとの闘いを損なうとして裁判所に訴えを却下するよう意見書を提出していたが、05年の判決は州法に限定して訴訟を認め、原告は06年1月に再度訴えを提起している。
  インドネシアのアチェ州は石油、天然ガスなどの資源に恵まれるが、分離独立運動が続いていた。2005年8月、自由アチェ運動とインドネシア政府の間に和平協定が合意されている。
(出典:Business and Human Rights Resource Centre )