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国際人権ひろば No.127(2016年05月発行号)

アジア・太平洋の窓

ネパール地震から1年

 1年前の2015年4月25日と5月12日に起きたネパール大地震は死者8,969人、行方不明4人、負傷者22,309人の大きな被害をもたらした。ヒューライツ大阪では2015年6月4日、来日中のネパールFEDO(フェミニスト・ダリット協会)のドゥルガ・ソブさんを招いて、被災状況について報告していただいた。被災地の多くが山間部に位置し、ダリットや先住民族の集落が点在しているため救援がすぐに届かないことや、救援物資が届いてもダリット住民は後回しにされたことなどの報告があった。反差別国際運動の募金活動を含み、日本で集められた募金をもとに、FEDOは食料、水、毛布などの救援物資を購入してマイノリティの被災者に優先的に配布した(1,287世帯、8村)。家をなくした人も多くいた。コシデカ村では150棟の仮設住宅を建て、約600人が現在もそこで生活している。

 ダリット女性は物理的および精神的に最も被害を受けたグループの一つである。FEDOは全国に支部をもち、各地でグループ活動をしている。被災地のひとつであるシンドゥパルチョク、ダディン、ヌワコの村でも12の女性グループが結成され、住民としての権利を学んだり、地震によるトラウマに対処するカウンセリングを受けたりした。

 2015年12月ドラガ地区の避難シェルターに住む60世帯に冬を迎える前に毛布が配布された。特に、高齢の女性、単身女性、ダリット女性、子どもたちが優先された。

 2016年3月1日、ジェンダーに配慮した災害管理に関して、政策決定機関と市民社会組織による合同会議が開催された。遅々として進まない政府の震災復興事業であるが、復興の政策決定のプロセスに被災女性の声が反映され、女性の課題が適切に反映されるよう、政府関係者との協議がもたれた。14の被災地から被災した女性たちも参加し、痛みと苦しみを訴えた。「家は全壊して家族全員が生き埋めになりました。気がついたら瓦礫の中にいました。家族9人のうち4人はすでに息が絶えていました」、と被災者の一人であるクリシュナ・クマルは証言した。合同会議は災害復興の政策に含めるべき女性の視点からみた15項目を明らかにした、カトマンドゥ宣言2016を採択した。

ネパール地震1.jpg

トタン板を壁にして作った仮設住宅

ネパール地震2.jpg

カウンセリングなどを行うダリット女性グループ

ネパール地震3.jpg

女性を優先にして毛布を配布