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国際人権ひろば No.120(2015年03月発行号)

特集 ヒューライツ大阪20周年を迎えて

子どもの権利が保障される社会を求めて

山下 裕子(やました ひろこ)
公益社団法人子ども情報研究センター 事務局長

 子ども情報研究センターは1977年に設立された。
 2014年は子どもの権利条約採択から25周年、日本がこの条約を批准して20年である。しかし、その期間はこの条約が根付かなかった、活用できなかった20年でもある。これは決して絶望しているのではなく、条約を、今を生きて明日の希望を持つためのツールにしていこうと確認しつつある期間だと考えたい。
 1989年、子どもの権利条約を採択した頃、自分自身が子ども生み、子育ての真最中だった。私にとって条約は希望だった。
 しかし、日本の子どもの現状はどうかというと、児童虐待や児童相談所の対応件数をみると、件数は増加している。子どもたちは誰にも相談できず、子育てをしている親たちがSOSを出すことができていない。当センターは子どもの権利救済のための相談室を開設しているが、相談を受ける相手の9割が大人である。これは、子どもが困ったことがあってもなかなか言えない、相談できない現状を表している。
 体罰についても、たとえば中学生からの部活の体罰に関する相談がある。行き過ぎた指導、非行傾向にある子どもたちへの生徒指導を一対一で行い、叩かれたり殴られたり威嚇されるなど、指導をうけた子どもからの相談もある。
 貧困も子どもを取り巻く現状の課題である。親の就労の不安定が子どもたちに影響を及ぼしている。またシングルマザーの生活の厳しさもいわれている。当センターでは、親向けの相談事業も行っているが、相談には、貧困、親が就労できない、鬱的な状況が表れている。そのために、子どもが家に帰ったときにほっとできない、代わりに家事を担っている子どもの現状がある。
 不登校は小中学校において11万3千人と前年度よりも減少しているが、いじめや体罰を受けていても学校にいくことを強いられていることが示されている。安心して休めない、安心できる学校環境にないことが問題なのである。一方、高校では中途退学が大きな課題になっている。4月から6月に受ける相談に、入学したが学校に合わないなどがあるが、1年生のときには7クラスあったのが、2年生時には5クラスに減っている学校もある。
 11月に子どもをめぐる人権課題に取り組んでいる13のNPOや市民団体が集まり、「関西子どもの権利条約フォーラム2014」を開催し、子どもの権利条約を基盤に活動している団体と出会い、現状を報告しあった。子どもの人権を保護するという視点で活動する人たちは少数派であり、孤軍奮闘している人たちと子どもの権利条約をもとにした社会をつくることを確認し、子どもの権利条約の啓発や条約の実現に向けた提言について話し合った。
 フォーラムでは子どもの権利条約の権利の4つの柱にそって、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の現状と課題について話し合う分科会が置かれた。また、全体会では、泉南市の子どもの権利に関する条例をテーマにしたDVDの上映や、かわにし子どもの人権ネットワークの子どもたちによる紙芝居のほか、138名が参加したワークショップ形式のワールドカフェが開催された。
 現状は、権利条約20年なれど、子育て中の親を軽んじ、後回しにする社会、いじめを被害者と加害者という二者の対立構造ととらえて、解決策を大人が考え、子どもが解決主体とはならない社会、暴力を容認する社会、体罰をする先生を擁護する社会、親や子どもが二次被害を受ける社会となっている。社会がもつ、あるべき子ども像、いいお母さん像によって暴力が見えなくされている。また、外国人や障害のある子どもの権利が後回しにされている。
 多数の声が正しくて当たり前と言われてしまうが、排除されて後回しにされる人がいることを忘れてはならない。その一番が子どもである。排除、後回しにされないためのツールが子どもの権利条約である。共に力を出し合って、子どもの権利を勝ち取る運動を進めていきたい。
 実は、私の子どもが一ヶ月前に赤ちゃんを産んだ。その子にこの条約を手渡していきたい。
 
編集注:会場から、権利の話をすると否定的な反応を受けるので、権利以外の言葉で伝えようかとも思うというコメントが出されたが、それに対し、パネリストは4人それぞれ、同じような経験をしていること、権利について伝え続けることが重要であると述べた。
 
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