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国際人権ひろば No.110(2013年09月発行号)

人権の潮流

LGBTが働きやすい職場をつくる

村木 真紀(むらき まき)
特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ 代表

 私たち「虹色ダイバーシティ」1は、LGBT等の性的少数者がいきいきと働ける職場づくりをめざして、調査、講演活動を行っている。すでに10社以上の大手上場企業で講演を行い、7月に行ったCSR担当者向けのセミナーは満員の盛況であった。日本でもこの問題への関心が高まっていると肌で感じている。
 LGBTとは、英語の「レズビアン(女性同性愛者)」、「ゲイ(男性同性愛者)」、「バイセクシュアル(両性愛者)」、「トランスジェンダー(性別越境者、性同一性障害者等)」の頭文字を並べた言葉である。
 名前の「虹色」は、世界的に使われているLGBTのシンボルで、性の多様性を祝福する意味がある。「ダイバーシティ」は、職場の人材の多様性を活かす事が企業を強くするという人事戦略上の用語。「虹色」と「ダイバーシティ」を合わせて、LGBTが職場でいきいきと働けるようにしたいという願いを込めている。
 LGBTは人口の5.2%(2012電通総研)程度であり、20人に一人はいるはずであるが、日本の職場でカミングアウト(公表)している人はほとんどいない。LGBTとは、英語の「レズビアン(女性同性愛者)」、「ゲイ(男性同性愛者)」、「バイセクシュアル(両性愛者)」、「トランスジェンダー(性別越境者、性同一性障害者等)」の頭文字を並べた言葉である。
 名前の「虹色」は、世界的に使われているLGBTのシンボルで、性の多様性を祝福する意味がある。「ダイバーシティ」は、職場の人材の多様性を活かす事が企業を強くするという人事戦略上の用語。「虹色」と「ダイバーシティ」を合わせて、LGBTが職場でいきいきと働けるようにしたいという願いを込めている。
 LGBTは人口の5.2%(2012電通総研)程度であり、20人に一人はいるはずであるが、日本の職場でカミングアウト(公表)している人はほとんどいない。

 

 LGBTの人権に関する世界の潮流

 

 「日本は寛容な国ではないか」と言われることもあるが、連日「オネエ」のタレントがテレビをにぎわせている一方で、法的整備は遅れており、当事者の自死が相次ぐなど、様々な社会問題が起きている。国際的にみれば、寛容どころか人権侵害の状況であり、日本政府は、国連の自由権規約委員会、社会権規約委員会という二つの委員会から、「LGBTに関する差別的な法規を改善せよ」という勧告を突きつけられている。
 日本の性的少数者に関する法的状況は以下の通りである。
・同性愛は犯罪ではない
・同性愛者や性同一性障害者への差別を禁止する法律がない
・同性間パートナーシップの法的保障がない
 (同性婚、パートナー法など)
・性同一性障害者の戸籍の性別の変更は可能だが、要件が非常に厳しい

 同性間パートナーシップを法律で認める国は、最近急激に増えており、同性婚ができる国は、2013年8月現在15カ国である。ニュージーランド、フランス、イギリスなどでは、元々同性同士で利用できるパートナー法があったが、それでは異性同士の婚姻と格差があり不十分であるということで、「結婚の平等」を求めて同性結婚法が成立した。同性結婚が出来る国では、それと前後して職場での差別の禁止についても法制化されており、その場合はLGBTへの配慮をしないことが違法であり、損害賠償の事由にもなりうる。一方で、アフリカや中東など、未だ迫害され、死刑等の重罪になる国もあり、各国で法的状況が大きく異なっている。
 国境をまたいで活動する企業は、どこに水準をあわせるべきかというと、当然、LGBTの人権を尊重する方向である。国連人権理事会もLGBTの人権について2011年6月に決議を行っており、日本もそれに賛同している。

 

 職場アンケートから見えてきたもの

 

 日本のLGBTについて、職場における状況はほとんどデータがなかったため、私たちは今年、「LGBTと職場環境に関するアンケート調査」を実施した。インターネットを通じて1,125人の当事者の声を集めることができたので、その結果を簡単にご紹介したい。

○ 回答者属性
ゲイ(男性同性愛者)328人
レズビアン(女性同性愛者) 314人
バイセクシュアル男性 25人
バイセクシュアル女性 182人
トランスジェンダー(男性→女性) 63人
トランスジェンダー(女性→男性) 113人
その他 100人
合計 1,125人
  (日本の各地域、10代から60代まで、すべての業界、業種から回答あり。)
○ 転職経験
 転職経験者はLGBT平均で60.0%であり、一般平均(51.8% H19就業構造基本調査)に比べて高率だった。複数回の転職経験者数も目立ち、特に男性から女性へのトランスジェンダーの転職経験率は68.3%と突出していた。
○ 雇用形態
 ゲイ、バイセクシュアル男性とレズビアンの非正規雇用率が20%前後で、男性一般(19.7% 、H24労働力調査)と変わらないのに対し、トランスジェンダーの非正規雇用率は30%を超えており、より不安定な状況におかれているという結果になった。レズビアン女性が男性一般と同水準であったのは、男性に依存せず、経済的に自立する必要があるためだと推測される。
○ 差別的な言動と職場の居心地
 職場でLGBTに関する差別的な言動が「ある」、「よくある」との回答が47.7%と、約半数に上った。逆に「全くない」という回答はたった6.5%。
 差別的な言動の有無は、職場の「人間関係」や「ストレス」にも強い相関があり、差別的な言動がある職場では、ストレスを感じる人が多く、人間関係も悪いという結果であった。
○ カミングアウト
 職場の誰かにカミングアウトしている人はLGBT全体で38.5%。トランスジェンダーでは半数以上。差別的な言動のない職場の方が、カミングアウトしている人の割合が高い。
 カミングアウトと職場の居心地、生産性には相関があり、カミングアウトしている人の方が、「ストレス」を感じにくく、「やりがい」を感じやすい。
○ LGBT施策
 職場のLGBT施策への期待については、全体の77.1%が「なんらかの施策が必要」と回答し、ニーズが高いのは「同性パートナーへの福利厚生の適用」(67.1%)、「差別禁止の明文化」(44.8%)。
○ LGBTに特有の問題
 アンケートの自由記載欄によせられた多数の事例から、職場におけるLGBTの問題は、以下のようにまとめることができる。

          項目                                                       内容
環境的ハラスメント   職場の差別禁止規定にLGBT が盛り込まれておらず、
            日常的にLGBT を揶揄する言動が見られる。
            当事者にとっては無形の圧力になる。
コミュニケーション不足 差別的な言動をする上司や同僚を信頼することが
            難しい。プライベートの話題を避けるために、休憩
            時間や食事時間のコミュニケーションを自ら避けて
            しまう。
人間関係のトラブル   コミュニケーション不足やLGBT であるという噂が
            きっかけになり、職場いじめ、就職差別、昇進差別、
            解雇等の対象になりやすい。
ロイヤリティの欠如   忌引きや家族手当等の福利厚生が利用出来ない
            事が多く、不公平感がある。所詮、自分は報われな
            いという思いが募り、会社への帰属意識を持ち
            にくい。
メンタルヘルスの悪化  LGBT であることを隠さなければいけない状況下で、
            緊張、不安、孤立といったストレスがあり、うつ、
            適応障害、出社拒否、自死等の問題の要因になる。
セーフティネットの機能不全  問題が起きた時の相談窓口であるはずの人事、
            労働組合、産業医等でも、LGBT に関する知識が
            あるのかどうか分からず、当事者には利用しにくい。
            相談する事で二次被害にあう事もある。
生産性の問題       LGBTであることに関するストレスで、仕事の生産
            性が低下する。
原因不明の離職     上記のような原因で離職することがあっても、
            それを人事等に明らかにしない。

 

 LGBT対応を進めるために

 

 職場において孤立し、働きにくさを感じている性的少数者たち。では、どうしたら当事者の働きやすさが向上するのか。私たちは、海外の事例を参考にしながら、日本の状況を加味して、以下のようなLGBT対応の指針を作った。(※下記図参照)
 目安としてSTEP 1から3に区分しているが、個々の職場の状況に合わせて、できることから始めて欲しいと思う。会社としてLGBTに取り組む姿勢を示す事そのものが、職場でカミングアウトできずにいる当事者を勇気づけるだろう。

 

 学習機会があれば、大半の人は変わる

 

 性的少数者の話題となると、強い拒否反応を示す方も中にはいるが、大多数の人については、単に今まで無関心だっただけだと感じる。実際、日本ではもう半数以上の人が「社会は同性愛を受け入れるべき」だと回答したという調査結果もある(54:36でYESが多い 、2013米調査機関による)。
 LGBT対応を進める事は、社会の「常識」を疑うことであり、男女共同参画、外国人従業員、障害者など、他のダイバーシティ施策を新たな視点から見直すことにつながる。「ちがい」を「豊かさ」に変えるダイバーシティ、その精神がどこまで職場に根付いているか、LGBTへの対応は、まさにその試金石である。

 

img_p8-9.jpg

 

 

注)

1: 特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ
http://www.nijiirodiversity.jp/

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