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国際人権ひろば No.91(2010年05月発行号)

ヒューライツ大阪からのお知らせ

活動報告 共催シンポ「伝統的価値観と国際人権基準のコンフリクトについて―北東アジアを事例に」を3月に開催

 ヒューライツ大阪は、大阪大学グローバル COEプログラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」と協力し、2010年3月13日に大阪市内で「伝統的価値観と国際人権基準のコンフリクトについて」というテーマのシンポジウムを開催した。
 平沢安政・大阪大学大学院教授が進行役を担い、海外ゲスト2名が報告し、ヒューライツ大阪のジェフ・プランティリア主任研究員がコメントした。平沢教授は、開催趣旨について「いずれの国も人権の捉え方や人間・家族・共同体などに関する伝統的価値観があり、国際的な人権基準を受入れているといわれている日本・韓国・台湾においても、こうした価値観と人権基準との間にコンフリクトが生じている。この3カ国の事例を通じてコンフリクトの本質に迫る議論をしたい」と説明した。
 台湾の東呉大学の黄默(マブファン)教授は、「人権教育における伝統的価値観と国際人権基準のコンフリクトについて」というタイトルで、アジア的価値の議論が台湾と中国の人権や人権教育に与えている影響について報告した。
 マレーシア、中国などの政治リーダーが唱えた人権のアジア的価値について、インドの学者アマルティア・センの「アジアの人々が集団として受入れ、かつ他の集団とは全く異なる本質的なアジア的価値観があるのか」という疑問を紹介しながら批判的に分析した。人権教育とは個人が立ち上がって自分の権利を要求するためのもので、なぜアジアの政治エリートがアジアの価値観にこだわるのかを見ていく必要があるとした。同時に中国では大学を中心に一部の研究者や教員が努力しているが、人権教育は始まったばかりと述べた。
 台湾はアジア的価値観の議論の影響をあまり受けていないが、死刑制度では国際人権基準とは異なる考えが根強いとともに、学校での体罰が復活するのではないかという懸念を示した。一方、小中学校で人権教育必修のガイドラインが12年間継続しており、これを守る努力をしていきたいと述べた。
 韓国の梨花女子大学の金恩実(キム ウンシル)教授は、「女性の人権と文化の力」というタイトルで、人権の議論が、男性を中心とする「人」の枠組みで作られてきて、女性が苦しんできた暴力や抑圧の問題を人権の課題に位置づけることが文化的な問題もからんで困難であると指摘した。女性やマイノリティの問題は従来の枠組みでは、被害者として扱っても、人や人権の概念の再考には容易につながらず、マイノリティの人権保障については権力の側から大きな抵抗があったという。民主化闘争を通じて人権が前進したものの、国家による政治的抑圧が主要な課題となり、総じて女性の人権が無視されてきた。90年代後半以降、DV防止法をはじめ女性の権利に関する法律が制定されたが、それが実状を変えるまでに至っていない。最近、ソウルの植民地時代の独立運動博物館敷地内で、日本軍「慰安婦」の女性たちのための博物館を建設しようとしたところ、独立運動の闘士側が反対したという事例を紹介した。
 プランティリア主任研究員は、2人の報告を受けて、「context(文脈)」「concept(概念)」「challenges(挑戦)」という3つのキーワードを手がかりにコメントをまとめた。
 ヒューライツ大阪の白石理所長が、まとめのあいさつとして、自身が参加した1993年のウィーン世界人権会議での経験もふりかえりながら、アジア的価値観と普遍的な人権の議論について人権の原則の視点から整理した。
※ 白石所長のまとめについては、本誌「人権さまざま」(p3)を参照ください。
(構成:朴君愛)