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国際人権ひろば No.89(2010年01月発行号)

フィリピン映画'CAREGIVER'の上映会で、日本への介護福祉士の受け入れについて議論

(藤本伸樹・ヒューライツ大阪)

 ヒューライツ大阪は、「移民映画祭実行委員会2009」の協力を得て、RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)と多文化共生センターひょうごとの共催で、09年12月19日に大阪市内のドーンセンターにおいて、フィリピン映画 『CAREGIVER(ケアギバー)』(介護士)の上映会を開催しました。定員の50名を少し上回る参加者がありました。
 この映画は、小学校の英語教員をしていた主人公の女性が、英国で働こうとする夫を支えるために、ひとり息子をフィリピンの親族に託して同行し、介護士として働く姿を描いたストーリーです。夫の希望をかなえるために、自分を犠牲にする従順な妻が、ロンドンの高齢者介護施設でさまざまな苦労や葛藤を経験しながら、介護士という職業に尊厳や誇りを見出し、エンパワメントしていく道のりが描かれています。
 09年、日比経済連携協定に基づいて、フィリピンから日本への介護福祉士候補の「初年度生」として約220人が来日し、11月から各地の高齢者介護施設などで働きながら3年後の介護福祉士の国家試験の勉強をしています。そのタイミングにあわせて今回の映画会を企画したものです。
 上映後には「ミニトーク」のプログラムを設けて、特別報告を受けたあと、参加者による情報や意見交換を行いました。
 特別報告として、広島国際学院大学教員の高畑幸さんに「日比経済連携協定による介護福祉士候補者第一陣~広島で日本語研修を受けた49人」というテーマで、(財)ひろしま国際センターが経済産業省から受託して5月から11月までの6カ月間実施した日本語研修や介護導入研修などのもようと、候補者たちが施設に就労してからの状況に関する調査の概要を説明いただきました。
 会場には、実際にフィリピンからの介護福祉士候補者を受け入れている大阪府豊中市の「豊寿荘」の総合施設長や相談に応じているとよなか国際交流協会の相談スタッフ、インドネシアからの看護師・介護福祉士候補者の支援をしている「ガルーダ・サポーターズ」関西事務局など、フィリピンやインドネシアからの候補者と実際に接点のある人たちが参加していたことから、さまざまな立場から「現場の声」を聞くことができました。そうした声を集約するならば、介護福祉士の場合、国家試験の合格率が日本人でも50%程度であるにもかかわらず、日本語初心者の外国人に日本滞在4年以内に、日本人と同内容の試験問題を課し、不合格ならば帰国させるという現行の制度設計に対する強い不安や改善の必要性でした。