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国際人権ひろば No.83(2009年01月発行号)

特集「日メコン交流年」と持続可能な社会づくり-私たちの課題 Part 5

参考資料1:日メコン交流年についてのNGOの見解 日メコン交流年に向けて

特定非営利活動法人メコン・ウォッチ

 メコン河は、中国、ビルマ(ミャンマー)、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国を流れる国際河川である。地理的な要因、日本企業の生産拠点としての重要性などから、日本とメコン河流域国の経済的な結び付きは強い。また、2国間の経済協力では、ラオス、カンボジア、ベトナム、ビルマに対し2005年の時点で依然、日本は筆頭援助国となっている。
 2007年1月16日、メコン地域5か国の外相(カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)が日本に招かれ、初めて、「日メコン」と銘打った外相会議が開催された。外務省のウェッブによると、この会議では、「『希望と発展の流域』である同地域に対する日本のコミットメントを再確認し、日本の対アジア外交の足下を再度固める」ことを狙い、「信頼・発展・安定」をキーワードとして、包括的協力姿勢を示すことが謳われている。それぞれのキーワードに対し日本政府は、
「信頼」:2009年を日メコン交流年に、5年間で1万人の青年招聘、
「発展」:ODAと貿易・投資の有機的連携、東西回廊物流効率化に2,000万ドルの支援、
「安定」:国境を越えた問題とミャンマー情勢への対処、という協力や対応重点項目を示した。会議に先立っては、日ラオス投資協定、対カンボジア無償援助交換公文、「開発の三角地帯」関係文書(2,000万ドル)の署名式が実施されている。
 経済的な結びつきが緊密であるとはいえ、なぜ今交流年なのだろう?「日本の対アジア外交の足下を再度固める」という言葉から感じられるのは、何かをしなければ、日本のこの地域での存在感が薄れてしまうという危機感である。タイのみならず中国やベトナムの経済的成長で、日本が援助と経済力を組み合わせ、圧倒的な存在感を誇っていたメコン河流域での活動に陰りが見える。そして今や、流域のインフラ開発は「投資」という形で主に新興国の民間企業の手に移っている。中国の政治的な影響力も増している。長年培ってきたとされる関係は揺らいでいる、と当の日本政府が感じているということなのではないか。
 もちろん、近隣国との友好関係は非常に重要で、若者を受け入れる交流も大切だ。だが、外相会議前に具体化されたのは、東西回廊等の物流円滑化支援など、相変わらず従来型の開発である。なぜ、これだけ貧困削減や人間の安全保障が議論される中、人身売買防止や教育、医療分野ではないのか、という疑問を思い浮かべるのは何もNGOだけではないだろう。
 メコン・ウォッチは1993年の設立以来、メコン河流域で起きている環境問題に取り組んできた。メコン流域国では急速な開発により自然環境の劣化、農村部で暮らす人々の食糧の安全保障の問題、国や人々の間の経済格差、開発に伴う人権侵害といった様々な問題を抱えている。私たちは、交流年を前にした昨年から、開発の影響を受けた現地の人びとの声を日本に届けるセミナーを開催している。この機会に、環境や人の生活という視点から、日本とメコン流域の人々のこれからの関係を考える場を提供したいと考えたためだ。
 日本政府は、冷静にメコン河流域国に対する日本の役割を見直して欲しいと思う。現在でも流域国では、きちんとした環境・社会影響調査も実施されず、大型のインフラ事業が進んでしまう例が後を絶たない。その影響の一部は、国境を越えてしまう。ベトナムのダム開発でカンボジアの農民が影響を受ける、といった事例が実際に起こっている。ここで、現在日本の援助機関が持っている環境・社会配慮のガイドラインを新興国も持つよう働きかけることや、メコン圏の各国の利害が対立している国境を越えた問題の調停役、「人権」という人類の普遍的な価値を流域国に根付かせる、といった新しい役割を日本が担うことこそ、長期的な相互利益に結びつくのではないか、と現地で起きている問題から思う。経済開発だけでなく、重点項目に挙げている他の点を、ぜひ具体化してほしい。
 また、私たちにとっても、今年は一つの契機だろう。日本政府がかつて言っていた「経済のパイが大きくなれば貧しい人もおこぼれにあずかれる」、という援助のトリックルダウン理論はほころびが見えて久しいが、そうこうしているうちに、私たちの「豊かさ」のモデルも破たんしてしまった。今まで目指されてきたものは、「先進国」と呼ばれる国に暮らす私たちに対してすら何の説得力も持っていない。このような時期だからこそ、貧しくて「開発」されるべきだ、という立場に置かれてきた人々の声を聞き直すことは、私たちに学びをもたらすはずだ。「生活とは何か」、「人と自然の関係は」等々、メコンに生きる人々は様々なことを語ってくれている。厳しい時代の節目に、「日メコン交流年」が日本で暮らす私たちと流域の人々との新しい関係や希望を紡ぐ場を生み出す機会になることを期待し、これからも人々の声を届ける努力を続けていきたいと考えている。
(文責: 木口由香)


参考資料2:日メコン交流年についての政府の見解
「日メコン交流年2009 -日メコン交流年について」外務省HPより

(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/j_mekong_k/koryu.html)

 近年、政治、経済、文化、青少年、観光等幅広い分野で関係が急速に深まっている日本とメコン地域諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)との間で、更なる交流の拡大を実現するため、2008年1月に東京で開催された日メコン外相会議において、2009年を「日メコン交流年」とすることが合意されました。
 日本は、これまで一貫してメコン地域を重視し、積極的に関係強化に取り組んでいます。具体的には「希望と発展の流域」である同地域に対するコミッ トメントを再確認するとともに、「信頼」「発展」「安定」をキーワードとした日メコン協力や国連改革問題をはじめとする国際場裡における協力を進めていま す。そのために、日本は、メコン地域諸国と貿易投資促進とODAを有機的に結びつけた開発への取組、観光促進など政府と民間の活動の連携を行っています。
 また、2007年に3年間の経済協力拡充などを柱とする日メコン地域パートナーシップ・プログラム(右図) を 発表しました。2009年は同プログラムの最終年にあたり、進捗状況を確認するとともに、今後の協力方針を打ち出す節目の年となります。さらに、2009 年は国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱する「メコン地域開発協力の10年」(2000?2009年)の最終年にあたり、国際社会においても、メコン地域に焦点があたると想定されます。
 メコン地域協力の節目に、官民が連携して、日本とメコン地域諸国の幅広い分野での交流を促進する機会を設定することは、今後のメコン地域協力にとって極めて有意義であります。
 ASEANの中でも後発に当たるメコン地域の発展は、域内格差是正を通じたASEAN全体の利益であり、ASEANと政治、経済、文化各面で強いつながりによって結ばれた、日本自身の利益です。
 日メコン交流年である2009年には、政治対話、経済・文化・青年交流、観光など幅広い分野で日本とメコン地域間で交流事業を実施します。関係団体や民間の交流を奨励し、官民あわせた取組を目指します。
 2009年1月1日から12月31日までが、日メコン交流年に当たります。

<お問い合わせ>
日メコン交流年事務局
(外務省アジア大洋州局南部アジア部南東アジア第一課)
住所:〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:+81-3-5501-8263 FAX:+81-3-5501-8262
E-mail:japanmekong2009@mofa.go.jp

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