アジア・太平洋国内人権機関フォーラム（APF）は5月28日、2025年3月に開催された国内人権機関世界連盟（GANHRI）第45回認証小委員会の報告書の概要を公開しました。同委員会では、世界各地域の国内人権機関の格付けに関わる審査を定期的に行っており、APFに加盟しているネパール、韓国、インドの国内人権機関が今回対象となりました。以下はその日本語訳です。
国内人権機関世界連盟（GANHRI）は、2025年3月に開催された第45回認証小委員会（SCA）の報告書を公表しました。
この会合では、アジア・太平洋国内人権機関フォーラム（APF）に加盟（訳注 ）するネパール、韓国、インドの国内人権機関の審査が行われました。認証小委員会の報告書では、各機関が「パリ原則」（国内人権機関の地位に関する原則）にどの程度準拠しているかについて、とりわけ、独立性、透明性、実効性、市民社会との協力に関する所見を詳細述べています。また、報告書は、最近の人権擁護に関する前向きな取り組みを認識しつつ、さらなる改善を推奨しています。
認証小委員会は、ネパール国家人権委員会のパリ原則に完全に準拠するAステータスの再認証を提言しました（訳注 ）。認証小委員会は、ネパール国家人権委員会の人権促進に向けた取り組みを評価する一方で、その独立性、財政的自立性、委員の多元性・多様性を守るために、さらなる法的および制度的改革を促しています。
韓国国家人権委員会については、市民社会団体からの懸念を受けて、認証小委員会は2025年10月に開催予定の第46回会合で特別審査を開始することを決定しました。
認証小委員会は、インド国家人権委員会が法的改革や内部指針の見直しを提示していることを認めつつも、独立性や多元性に関する長年の懸念が依然として十分に考慮されていないとし、インド国家人権委員会のステータスをA（パリ原則に完全に準拠）からB（パリ原則に部分的に準拠）へ格下げするよう勧告しました。これに対し、インド国家人権委員会は降格に異議を唱えており、2026年4月から5月に開催予定の第47回認証小委員会までは、「A」ステータスを暫定的に維持することが認められています。その間に、必要な改革を実施・提示する機会が与えられています。
(訳：山本 恵理・ヒューライツ大阪インターン)
<出典>
https://www.asiapacificforum.net/news/asia-pacific-nhris-reviewed-at-latest-sca-session
Asia Pacific Forum: Asia Pacific NHRIs reviewed at latest SCA session (2025年5月28日掲載)
<参照>
https://www.asiapacificforum.net/members
Asia Pacific Forum: APF members
https://ganhri.org/wp-content/uploads/2025/04/SCA-Report-march-2025-session_23042025_EN.pdf
Global Alliance of National Human Rights Institutions: Report and Recommendations of the 45th Session of the Sub-Committee on Accreditation (SCA)
https://ganhri.org/sub-committee-on-accreditation/
Global Alliance of National Human Rights Institutions: Sub-Committee on Accreditation
https://ganhri.org/wp-content/uploads/2019/11/GANHRI-Manual_online1.pdf
Global Alliance of National Human Rights Institutions: A practical guide to the work of the sub-committee on accreditation (SCA)
＜参考＞
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2024/10/118.html
ヒューライツ大阪：日本にはない国内人権機関、世界で118機関
（2025年06月13日 掲載）