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技能実習制度にかわる新制度における転籍制限が「最長2年」に - 有識者会議のたたき台修正案(11/15)

 外国人技能実習制度の見直しを検討している政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」は11月15日、第15回会議の結論として「最終報告書(たたき台)」の修正案を公表しました。
 「有識者会議」は、4月28日の第7回会議において、「現行の技能実習制度を廃止して人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべき」とする「中間報告書」をまとめました。そして、10月18日の第12回会議のまとめとして、「技能実習制度の発展的解消」を提言する「最終報告書(たたき台)」を公表しました。
 見直しをめぐる数多くの論点のなかの根幹課題は、「新たな制度における転籍の在り方」だと言われています。現行の技能実習制度では、雇用者の責などによる「やむを得ない事情がある場合」のみ転籍(転職)が認められているものの、原則3年間は勤務先を変えることができないのが現状です。その結果、職場が人権侵害の温床になるとともに、人権侵害から逃れるために「失踪」し、非正規滞在となる技能実習生が後を絶たないという事態が続いてきました。そうしたことから、転籍制限の緩和が技能実習生の人権保護に必須ではないかと言われてきました。
 10月18日の「最終報告書(たたき台)」では、転籍希望者には「1年を超えて就労」、および日本語と技能の基礎試験合格を要件に、同業種内での転籍を認めるとしました。しかし、11月15日の修正案では、特定の就労分野で2年目の昇給などの待遇改善が行われる場合、「最大2年間」は転籍を認めないとする要件厳格化の案を盛り込みました。転籍要件の緩和案に対する議員による「高賃金の都市部に人材が流出する」などの反発を受けた「軌道修正」だとみられます。
 そうしたなか、日本労働弁護団は11月16日、15日の「有識者会議」で示された案を早急に撤回し、転籍に関する無用な要件を設けないような制度設計を求める「緊急声明」を発表しました。また、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は11月20日に「改めて『まっとうな』移民政策を求める声明」を出し、労働者の権利を制約するのではなく、受入機関が賃金その他の労働条件や職場環境を改善するとともに、受入機関同士、また自治体や地域住民と協力することを通じて労働者が生活者として定着していく道を探ることを提言しています。
 有識者会議は2023年内に最終報告をまとめる予定です。
 
<出典>
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00033.html
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(出入国在留管理庁)
https://roudou-bengodan.org/proposal/12456/
技能実習制度に替わる新制度において無用な転籍要件を設けることに対して断固として反対する緊急声明
2023年11月16日(日本労働弁護団)
https://migrants.jp/news/voice/20231120.html
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書案をうけて 改めて「まっとうな」移民政策を求める声明 2023年11月20日(移住者と連帯する全国ネットワーク)


(2023年11月24日 掲載)