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国連特別報告者、非正規移民の正規化への道を拡大するよう各国に要請(6/26)

 移民の人権に関する国連特別報告者であるフェリペ・ゴンザレス・モラレス氏は、国連人権理事会で非正規滞在の状態にある移民が直面する脆弱性に対処するために、各国に対して正規化のメカニズムを創出、強化するよう呼びかけた。

 同特別報告者は「保護と包摂のツールとなる正規化は移民、その家族、移住先国と地域社会に利益をもたらす」として「国家は移民に永住、市民権そして移住先での意味ある社会参加のための選択肢を与えなければならない」と訴えた。

 また声明では、無登録の移民が正規の在留資格を有さないことで苦境に立たされ続けていることに触れ、具体的には無登録の移民は、危機的な環境での生活および労働を強いられ、差別、虐待、搾取、周縁化に晒されやすいと指摘。さらに、正規の在留資格がないことによって強制送還の恐れから人権侵害にあっても訴え出ることができないこともしばしばあると述べた。

 加えて、「非正規化を招いた事情に関わらず、非正規状態によって人権の享受が妨げられている」とし、さらに移民であることに加えて他の形態の差別と非正規状態の犯罪化との交差性によって非正規移民の脆弱性がさらに悪化していることを強調。

 国連人権理事会第53会期(20236月~7月)に提出された報告書においても、人間を中心に据えた、子どもの状況に配慮した、ジェンダー平等を志向した、そしてトラウマに配慮した形で正規化のルート設計、見直しによって各国がどのように移民の人権保護を強化することができるか検討しており、「移民の正規の在留資格が、収容および送還から移民を保護し、搾取される可能性を低減し、司法へのアクセスを促進し、移民の完全な社会参加を可能にしてくれる」と同特別報告者は言う。

 正規化の手続きは、移民にとって社会的保護、医療、働きがいのある人間らしい仕事、教育、充足した生活環境、そして家族との再会への道を広げるものであり、移民がより安心した尊厳ある生活を営めるようエンパワーしてくれるものとだと強調し、「人権の完全な享受を確かなものとするために、正規化のプロセスは反差別政策を伴わなければならない」と指摘した。

 同特別報告者は、「各国政府に対して非正規移民の犯罪化をやめて、移民に対する言説を変え、外国人嫌悪やレイシズム、そして差別と闘い連帯を促進するよう要請する」と締めくくった。


<出典>

https://www.ohchr.org/en/press-releases/2023/06/states-must-broaden-pathways-regularisation-migrants-un-expert

States must broaden pathways to regularisation for migrants: UN expert, 26 June 2023


<参考>

A/HRC/53/26 (undocs.org)

How to expand and diversify regularization mechanisms and programmes to enhance the protection of the human rights of migrants

Report of the Special Rapporteur on the human rights of migrants, Felipe González Morales


(2023年06月29日 掲載)