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第45会期人権理事会(9/14-10/7)、新型コロナに関する報告など35の決議を採択

 第45会期人権理事会が9月14日から10月7日まで開催され、ベラルーシ、フィリピンの人権問題、ジャーナリストの安全、安全な飲料水と衛生の権利、国内・国家間の不平等に関する決議など35の決議を採択しました。
 
新型コロナウィルス感染症に関わる報告
会期の初日、新型コロナウィルス感染症の人権に関わる影響について討議が行われました。また、「現代的形態の奴隷制に関する特別報告者」による新型コロナウィルス感染症が奴隷制の現代的形態や類似の慣行に及ぼす影響に関する報告、「有害物質と廃棄物の健全な管理・処理に関する特別報告者」による新型コロナウィルスに晒されたり感染することを防止するための国の義務に関する報告、新型コロナウィルス感染症をめぐり世界各地で起こる抗議行動とそれに対する警察の対応に関する報告などが提出されました。アフリカ系の人々に関する専門家作業部会が構造的差別に関する報告を行いました。
また、人権理事会は2020年に実施することが予定されていたイベントや報告などで、感染拡大のため実現できなかったものについて、2021年以降に延期することを決定しました。
 
ベラルーシ、フィリピンなど特定の国に関する決議
人権理事会は、2020年8月の大統領選挙後、抗議行動が続くベラルーシについて緊急に討議を行うことを会期の開始直後に決定し、大統領選挙の前後に拷問、強制失踪、恣意的な拘束や国外追放などの人権侵害が起こっていると報告されていることについて懸念する決議を採択しました。決議では、ベラルーシ当局に、平和的に抗議行動をしている人に対する過剰な力の行使を停止し、政治的理由で拘禁されている人や、ジャーナリスト、人権活動家などを釈放し、市民社会を含む反対派と対話することを求めています。ベラルーシについて、人権理事会は2012年から特別報告者を任命し、前回の44会期にも集会や表現の自由の制限などを懸念し、自由、公正で透明な大統領選挙を促すことを決議していました。
また、前回44会期において、人権状況を懸念する報告が提出されていたフィリピンについて、人権高等弁務官に同国の人権状況の改善のために技術支援・協力を要請する決議を採択しました。そのほかイエメン、ベネズエラ、シリアなど特定の国に対する決議が採択されました。
一方、暫定政府と反政府組織との和平合意が締結されたスーダンについて、人権理事会は和平合意を歓迎し、人権高等弁務官事務所の現地事務所が開設されたことをあげ、同国に関する独立専門家のミッションを終了することを決議しました。
 
安全な飲料水と衛生の権利
今会期、「安全な飲料水と衛生の人権に関する特別報告者」によるこれらの権利の漸進的実現に関する報告が提出されていました。報告は、2020年が国連総会で水と衛生が人権として明示に認められてから10年にあたるとし、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスの達成と、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスの実現をターゲットに掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の期限まであと10年であることを挙げています。
同報告は、これら権利を漸進的に実現する義務を明確にすることが重要であると述べています。そして、漸進的実現について、水と衛生を提供するサービスの水準を向上させる垂直的実現とすべての人に平等なアクセスを提供する水平的実現があること、権利の実現に利用可能な資源を最大限あてなければいけないこと、漸進的な実現とはいえ、どのような状況においても確保すべき最低限の中核的義務があることを述べています。
さらに、漸進的実現の義務を果たすにあたって、水と衛生に関する政策や計画に人権により重点を置き、垂直的および水平的実現のバランスをとること、最も脆弱な人々を優先することなどについて説明しています。
人権理事会は、各国が安全な飲料水と衛生の権利を漸進的に実現する一義的義務を有していることを確認し、目標6「安全な水とトイレを世界中に」を含むSDGsを最優先とすることを促す決議を採択しました。
 
ジャーナリストの安全
人権理事会は、表現の自由と、自由で独立した多様なメディアの重要性をあげ、ジャーナリストの安全に関する決議を採択しました。決議は、ジャーナリストやメディアで働く人々が危機の状況において重要な役割を担う一方、政治指導者や当局、公務員がジャーナリストやメディアを中傷したり、威嚇する事例が起こっていること、ジャーナリストやメディアで働く人々が殺害、拷問、強制失踪や暴力の危険にさらされることなどを指摘しています。
ジャーナリストなどに対するオンラインおよびオフラインでのあらゆる攻撃、報復や暴力、特に女性ジャーナリストなどに対する差別、性的およびジェンダーに基づく暴力を非難しています。そのうえで、政治的指導者、公務員によるメディアに対する中傷や威嚇をやめ、女性ジャーナリストなどに対する差別的表現をやめることを促しています。
さらに、国家に対して、ジャーナリストやメディアが独立して、不当に干渉されることなく活動できるよう法律を整備し、ジャーナリストに対する攻撃や暴力に対する捜査、加害者の処罰および被害者の救済を行い、当局が保有する情報の有効な開示を規定する透明で明確な法律を制定することなどを求めています。
 
人権教育のための世界プログラムの第3段階の報告など
今会期にはまた、2015年から2019年まで実施された人権教育のための世界プログラムの第3段階の報告が提出されていました。
また、次回46会期にダーバン宣言及び行動計画の20周年を記念するハイレベル・パネル・ディスカッションを実施し、第76回総会にイベントを行うことを呼びかける決議、国内・国家間の不平等の撤廃に関する決議、民間人の火器の取得、所持および使用に関する決議などを採択しました。
(構成・岡田仁子)
 
<出典>
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/Pages/NewsDetail.aspx?NewsID=26360&LangID=E
Human Rights Council concludes regular forty-fifth session after adopting 35 resolutions, one Presidential Statement and one decision (OHCHR, 7 October 2020)
 
<参照> 
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2020/09/covid-1991.html
バチェレ人権高等弁務官、報道と表現の自由の意義を強調~COVID-19下におけるジャーナリストに対する不当な弾圧に対して(9/1)ヒューライツ大阪
 
https://www.hurights.or.jp/japan/news/2020/09/21ngo45covid-19924.html
ヒューライツ大阪など21の国連NGO、第45会期人権理事会で共同声明「COVID-19と人権教育」を発表(9/24)ヒューライツ大阪

(2020年10月12日 掲載)