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韓国・国家人権委員会、自治体による「災難緊急支援金」からの外国人住民排除は平等権の侵害と判断(6/11)

 2020年6月11日、韓国の国内人権機関である国家人権委員会(委員長 チェ・ヨンエ)が、ソウル市長と京畿道知事に対し、新型コロナウイルス感染拡大の中で自治体の住民支援として打ち出した「災難緊急支援金」から外国人住民を対象外にしたことは平等権の侵害であると判断し、排除しないよう政策の改善を勧告したことが公表された。

 国家人権委員会の報道資料とマスメディアによると、ソウル市は3月18日、京畿道は3月24日に、住民登録をしている人たちに対し、各自治体が「災難緊急支援金」(各自治体により支援内容や金額は異なる)を支給すると発表した。しかし、その対象から外国人住民が排除されているのは差別行為であり、人権侵害であるとして、複数の外国人当事者と市民団体が、4月2日に国家人権委員会に申立をしていた。

 国家人権委員会の調査に対し、ソウル市は、「(低所得者対象のため)限られた財源の中で、世帯構成や所得の正確な把握が難しい外国人は支援対象から除外したが、韓国人と結婚した人や難民認定者など一部の外国人は含めた。また物品支援など他の支援策には外国人を含めるなどして最善を尽くしている」という立場を主張した。また京畿道は、「住民登録の電子システムで全体の状況の把握ができない外国人をやむを得ず除外したが、5月4日の条例改正によって韓国人と結婚した人と永住権者に支給する方策を準備した」という意見を出していた。

 国家人権委員会は、5月21日に開催された「全員委員会」において、当該自治体が政策において、住民として登録している外国人住民に異なる処遇をするのは合理的理由のない差別であるとして、韓国憲法第11条(法の前の平等)、人種差別撤廃条約などの国際人権基準に違反し、国家人権委員会法第2条第3号(平等権侵害の差別行為)に該当すると判断した。そして、災難緊急支援金の政策において外国人住民が排除されることのないよう政策の改善を勧告した。

 韓国政府も5月に入ってから国の政策としての「災難緊急支援金」支給を開始した。それに先立つ4月16日発表の政府方針において、外国人に対する支給に関しては、上述の自治体と同じく結婚移住者や永住権をもつ外国人に限っている。それに対し、110を超える移住者を支援する人権団体が共同で、韓国に長期滞在する外国人173万人中144万人を排除する政策であるとし、政府に対しすべての移住者に支給するよう要求している。

 

出所:韓国国家人権委員会報道資料(2020年6月11日 韓国語)
http://www.humanrights.go.kr/site/program/board/basicboard/list?boardtypeid=24&menuid=001004002001
連合ニュース「人権委「ソウル市・京畿道災難支援金の外国人排除は差別」
(2020年6月11日 韓国語)
http://www.yna.co.kr/view/AKR20200611076500004?input=1195m
KBSニュース「災害は移住者だけ除外しないー災難支援金の平等な支給を求める」(2020年5月7日 韓国語)
http://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=4440970
 

(2020年06月18日 掲載)