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シンポジウム「国連審査とマイノリティ女性 - 知らんかったら、変われへん」を開催しました (11月28日)

2015年11月28日、シンポジウム「国連審査とマイノリティ女性」を大阪市中央区のドーンセンターで開催しました。このシンポジウムは2016年2月にスイス・ジュネーブで行われる国連女性差別撤廃委員会による日本政府報告書の審査に向けたもので、マイノリティ・コミュニティおよび障害者の女性が直面する権利と差別の課題について、国連システムや国際基準を枠組みにしながら議論することを目的に開催しました。
    シンポジウムは三輪敦子さんによる「女性差別撤廃委員会と私たち~勧告を力にして変化につなぐ!」と題した基調報告で始まりました。国連ウィメン日本協会理事である三輪さんは、女性差別撤廃条約について、日本が批准したことの意義や効果にもふれながら、わかりやすく概説しました。35年前に本条約が国連で採択された当時から比べて、女性を取り巻く世界の状況は大きく変化し、女性に対する暴力の理解と対策、意思決定への参加、実質的な平等の重要性、複合差別の視点、グローバル化に伴う女性の移住労働の増加などが新たな課題として確認されるようになりました。とりわけ、マイノリティ・コミュニティや障害者の女性にとっては、女性の権利や差別を語るさいに、「女性として一括りにはできない」という視点がようやく受け入れられるようになったことは重要です。しかし、政府が今回の審査のために国連に提出した報告書にはマイノリティ女性に関する具体的なことはほとんど触れられておらず、マイノリティ女性の状況が見えてきません。その意味でも、2016年2月の国連審査にマイノリティ女性が直接参加することは非常に重要であると確認されました。
 部落女性、在日コリアン女性、障害女性の代表による「今、これだけは伝えたい」のメッセージのあと、90人の参加者は「女性の固定観念」「ヘイトスピーチ」「教育の機会」「雇用問題」「性と生殖の権利」「女性と貧困」「意思決定への参加」など、テーマ毎に設定した10のグループに分かれて討議を行いました。これらテーマは2016年2月に女性差別撤廃委員会が日本政府との対話においてマイノリティ女性の視点も交えてとりあげる課題の一部です。
 マイノリティに属さない女性や男性の参加者も交えた45分間のグループ討議はあっという間に終了し、どのグループでも活発な意見交換が行われました。いずれのテーマもそれだけで一つのシンポジウムを開催できるほど広く深いものですが、当日に参加者一人ひとりが自分で選んだテーマの討議に参加をし、自由な雰囲気のなかで率直な意見を出し合えたことは意義深いものがありました。全グループの討議内容の分かち合いのあと、マイノリティの権利の研究者である元百合子さんがまとめとして意見を述べました。元さんはとくに、審査のあとの日本国内における取り組みが重要であり、政府による国連勧告の実施がほとんど進んでいない現実を踏まえてとりかからなくてはならないと述べ、参加者を励ましました。
 最後に、女性差別撤廃委員会の日本審査モニターに参加するマイノリティ女性を代表して、梁優子さんが決意を表明してシンポジウムは閉会となりました。
 終了後の参加者からの感想にも反映されているように、「知らんかったら、変われへん」というメッセージが届いたシンポジウムとなりました。
 

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(2015年12月04日 掲載)