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第3回国連ビジネスと人権フォーラム

 第3回目となる国連主催の「ビジネスと人権フォーラム」が、2014年12月1日から3日までの3日間スイスのジュネーブで開催されました。2012年12月に初めて開かれたこのフォーラムは、2011年6月に「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組み実施のために」を承認する決議によって創設されたもので、指導原則に掲げられた3つの柱を普及し、実施・促進することを目指しています。3つの柱とは、1. 人権を保護する国家の義務、2. 人権を尊重する企業の責任、3. 救済へのアクセス です。これらを中心とする「ビジネスと人権に関する指導原則」を実施するため、国連加盟国、ビジネス、市民社会、そして国際機関による対話・協力の促進をめざす3日間の年次会合として開催されるこのフォーラムは、ビジネスと人権をテーマとする最も大規模な討議の場となりました。
 第3回フォーラムでは、「 『ビジネスと人権』をグローバルに前進させる-協力と支持が確保され、責任が果たされるように-」(“Advancing business and human rights globally: alignment, adherence and accountability”)をテーマとして、スーダンのモバイル・コミュニケーション企業の創設者であるモ・イブラヒム氏を議長として迎えました。民間企業、政府機関、市民社会などから2000人が参加し、市民社会からの参加者はNGOや学者、労働組合、先住民族や人権侵害を受けているコミュニティの人々など多岐に渡りました。本会議に加えて複数の分科会やサイドイベントが行われましたが、その中で特にいくつかの点に着目して報告します。

救済措置の強化 

 まず今回のフォーラムの本会議では、人権侵害の被害者への救済措置の強化を求める声が終始上がっていました。ビジネス関連の人権侵害の被害者は、深刻な障害に直面し、上述の3つの柱の一つである「効果的な救済へのアクセス」を実際に得ることが困難となっています。企業進出先である現地国において独立した司法機関がないことや、企業の本拠地の裁判所へのアクセスが非常に限られていることなどにより司法へのアクセスが妨げられていることがひとつの要因となっています。国家には人権を護る義務があり、それを求める「ビジネスと人権に関する指導原則」を実施に移すための「国家行動計画」が提案されていますが、その策定が迅速には進んでいないという見解が多く聞かれました。まだ行動計画策定に取り組んでいない国々の中には、その実現に向けて努力することをフォーラムで表明するものもありました。パネルディスカッションでも、先住民族グループから、企業の苦情メカニズムも国家による保護も十分に機能しておらず、現地のコミュニティを苦しめているという事例が語られました。

企業の責任に関する自由討論

 企業が人権を尊重する責任についてリーダーたちがどのように感じているかという事前調査を基に行われた本会議では、ステークホルダー間の人権問題への取り組みに関する進捗状況報告が自由討論の形で行われました。ユニリーバやネスレなどが優れた実践例としてあげられました。ユニリーバは自社のユニリーバ・サステナブル・リビング・プランを紹介し、すべてのバリューチェーンを通じて責任をとっている点で他社にはない独自性があると語りました。またネスレは、人権尊重へのコミットメントをビジネス原則及び 経営原則に取り込んでおり、世界中のネスレ社員がこれらに従って行動することは、妥協の余地のない原則であると示しました。ネスレのように世界中にネスレ商品に関わる人々がいる会社では特に、バリューチェーンの中の多様なコミュニティを尊重し、倫理性と高水準の人権尊重を基本とした「社会とのつながり」が不可欠であると認識していることが語られました。そのためネスレでは自社で人権ワーキンググループを設立し、専門家がサプライチェーンにおけるあらゆる人権問題に関する情報を提供できるようにしていることが紹介されました。
 議長はこれらの大企業の人権に関する活動を称賛する一方で、大企業だけでなくあらゆる形態のビジネスにおいて企業と人権に関する指導原則が実施されなければならないと強調しました。中小企業でも大企業でも国内企業でも国際的な企業でも、「ビジネスと人権の指導原則」はすべてのビジネスに当てはまります。ビジネスと人権をつなぐ鍵として、企業と市民社会の協働の促進が重要です。本会議ではこうした企業の責任への認識とそれに基づく行動を促すことが国連フォーラムの役割であることが改めて確認されました。

被害者と人権擁護者の声

 被害者と人権擁護者に焦点を当てることはビジネスと人権のあらゆるステークホルダーの活動において極めて重要です。フォーラム最終日には人権侵害を受けている被害者やその擁護者と直接対話・議論を行う場となりました。国家が人権を護る義務は、人権擁護者の議論においても中心課題でした。

 3日間に渡るフォーラムの締めくくりに、「ビジネスと人権に関する指導原則」の起草者であるジョン・ラギ-氏はこう語りました。「このフォーラムにいるすべての人は既にこのビジネスと人権に関する新たな取り組みの一員である。私たちは世界中の個々人のために必ずやこの取り組みに成功することができるし、成功させなければならないのである。」このように犠牲者個々人に焦点をあてることがビジネスと人権に関わるあらゆる関係者のすべての活動を通じて最重要課題の一つであり、今回のフォーラムでもそのことが再認識されました。

出所:
Business & Human Rights Resource Centre http://business-humanrights.org http://www.ohchr.org/EN/Issues/Business/Forum/Pages/ForumonBusinessandHumanRights.aspx

参考:ビジネスと人権に関する指導原則(ヒューライツ大阪)https://www.hurights.or.jp/japan/aside/ruggie-framework/


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