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国際刑事裁判所、戦争犯罪、人道に対する罪について有罪判決

 3月7日、国際刑事裁判所(ICC)は、コンゴ民主共和国のジェルマン・カタンガ被告に人道に対する罪と戦争犯罪について有罪判決を下しました。カタンガ被告はコンゴ民主共和国の武装集団の一つであるイツリ愛国的抵抗戦線(FPRI)の指導者で、2003年、同国北東部のイツリ州のボゴロ村襲撃において、村への攻撃、住民の殺害や破壊、子どもの武装集団への徴募、レイプや性的奴隷とすることなどの戦争犯罪と人道に対する罪で起訴されていました。襲撃では、約800人の住民の少なくとも200人が殺害されたとされています。
ICCは武装集団が村を襲撃し、高齢、女性や子どもを含む住民を銃や長刀などで殺害したこと、家を破壊し、火をつけ、家畜など財産を略奪したこと、女性をレイプし、奴隷化したことを認定し、武装集団が、ボゴロ村の住民、特にヘマ系の人びとを標的にする計画があったと判断しました。
 一方、ICCは、カタンガ被告がFPRIの指導者として権威的地位を占めていたものの、武装集団には中央集権的な指揮命令系統がなく、同被告がすべての指揮官や戦闘員に対して実効的な権力を有していたのではないとして、実行犯としてではなく、従犯として、移動手段の提供や武器の供給を含め、襲撃に寄与したと判断しました。しかし、レイプや性的奴隷化については、それらが起ったことは認めたものの、計画の目的の一部であったことは立証できなかったとして無罪となりました。また、15歳未満の子どもを戦闘に参加させたことも、実際に子どもが襲撃に参加していたことは認められましたが、被告との直接の関係は立証できていないと退けられました。
 コンゴ民主共和国の事態について、ICCは2012年にトマ・ルバンガ被告に対して15歳未満の子どもを武装集団に徴募し戦闘に参加させたという戦争犯罪について有罪判決を下しています。一方、別の武装集団の指導者であったマチュウ・ングジュロはカタンガ被告と同じボゴロ村の虐殺について、故意に戦闘に参加していない文民を攻撃したなどの戦争犯罪、人道に対する罪について無罪となり、検察が控訴しています。
 ICCは、集団殺害、人道に対する罪、戦争犯罪と侵略を犯罪として責任者を起訴し処罰することを定めたローマ規程によって設立された常設の裁判所です。同規程は2002年に発効し、日本は2007年に批准しています。(3月10日)

出所:
「Germain Katanga found guilty of four counts of war crimes and one count of crime against humanity committed in Ituri, DRC」ICC Press Release 3月7日付
http://www.icc-cpi.int/en_menus/icc/press%20and%20media/press%20releases/Pages/pr986.aspx

参考:
「国際刑事裁判所が初めての判決」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2012年3月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2012/03/post-75.html

(2014年03月11日 掲載)