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子どもの権利に関する人権デューディリジェンスをめざして「子どもの権利とビジネス原則」が作成される(2012)

 2011年に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則 」の示した企業の人権尊重責任に関連して、女性や子ども、先住民族など当事者グループ別に焦点を当てた取組みが活発になっています。

 2012年、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン、国連グローバル・コンパクト、ユニセフは共同で「子どもの権利とビジネス原則 」を発表しました。「子どもの権利とビジネス原則」は、10原則からなり、企業が子どもの権利を職場、市場、そして地域社会の中で尊重し、支援するためにどんな取り組みをすべきかについて包括的に示しています。以下のその原則を紹介します。

子どもの権利とビジネス原則
すべての企業は、
第1原則 子どもの権利を尊重する責任を果たし、子どもの権利を支援するためにコミットをしましょう。
第2原則 あらゆる企業活動および取引関係のなかで、児童労働の根絶に貢献しましょう。
第3原則 若年労働者、親、および養育者に対しディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を提供しましょう。
第4原則 あらゆるビジネス活動および施設において、子どもの保護と安全を確保しましょう。
第5原則 製品やサービスが安全であることを確保するとともに、それらを通じて子どもの権利を支援しましょう。
第6原則 子どもの権利を尊重し支援するようなマーケティングや広告を使用しましょう。
第7原則 環境および土地取得並びに使用に関連して子どもの権利を尊重し支援しましょう。
第8原則 警備体制*を敷く際には子どもの権利を尊重し支援しましょう。
第9原則 緊急事態で影響を受ける子どもを保護することを助けましょう。
第10原則 子どもの権利を保護し達成するための地域社会や政府の取組みを強化しましょう。
 *「警備体制」には公的または民間の警備サービス提供者と契約することなどが含まれます。原則では、警備のために、直接に、または警備サービス会社を通じて、子どもが雇われることがないよう確認しています。

 企業の事業活動と子どもの関わりは、よく事例にあげられる「児童労働の禁止」だけではありません。子どもは、労働者、消費者、地域住民といったステークホルダーとして企業と様々なつながりを持っています。そして、これらのつながりは自社の事業活動のみならず、国内外に伸びるバリューチェーンへと広がっています。

 このように「子どもの権利とビジネス原則」は、「子どもの権利」を企業が尊重する責任と支援する役割に注目したものであり、一方、指導原則は企業が人権一般を「尊重する責任」を規定しています。両者は補完的し合った内容となっています。

 「子どもの権利とビジネス原則」は、国連グローバル・コンパクト10原則や女性のエンパワメント原則(WEPs)と異なり、企業トップが署名をして参加するといった仕組みはありません。

 しかし、「子どもの権利とビジネス原則」は、世界中の企業に対し「子どもの権利とビジネス原則」を活用するよう働きかけています。具体的には、意識啓発への協力、自社の基本方針における原則へのコミットメントの表明、事業活動における原則の遵守、既存の報告制度(CSRレポートや統合レポートの発行など)における進捗状況の報告、そしてグッド・プラクティス(好事例)を他社と共有するような取組みを自発的に行うことが期待されています。

 

出所: Children’ rights and Business Principles  http://childrenandbusiness.org/

(2014年03月27日 掲載)