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フィリピンでNGOやジャーナリストの殺害をめぐる調査委員会が設置される

  フィリピンでは近年、NGOや労働者、農民など草の根組織の活動家、教会関係者、およびジャーナリストなどを対象に国軍や警察が何らかの関与をしているとみられる殺害が急増しており、効果的な調査や対策を講じないアロヨ政権に対して国内外から批判が高まっています。
  こうした事態を受けて、アロヨ大統領は06年8月21日に「ジャーナリストおよび左派系活動家の殺害の(政府から)独立した調査を実施するための委員会」を創設すると発表しました。委員会は、元最高裁判事ら5人で構成される特別委員会です。同日は、マルコス独裁政権時代にベニグノ・アキノ元上院議員が暗殺されて23周年にあたる日でした。
  この委員会の設立に対して、委員会の独立性に疑問をいだくとともに、国内外からの批判をかわすために組織された手段にすぎず政治的殺害に歯止めをかける効果は期待できない、といった批判が野党議員などから多数出ています。
  左派系の人権団体のカラパタンは、2001年にアロヨ政権が誕生して以来、合法的組織で活動する700人以上が殺害されたと公表している一方、最大手の日 刊紙「フィリピン・デイリー・インクワイラー」は200人強と推定し、国軍・警察は100人以下と公表しており、団体により犠牲者数が異なっているという 背景があります。
  アムネスティ・インターナショナルは8月15日、「フィリピン-政治的殺害、人権、和平プロセス」という51ページにおよぶ克明な報告書を発表しました。そのなかで、「06年年上半期におけるフィリピンでの政治暗殺の被害者は51人にも達し、05年通年の66人を上回る勢いである」と指摘しています。
  フィリピンでは、1969年に共産党の軍事部門である新人民軍(NPA)が結成されて以来、政府軍との戦闘が継続しています。これまで双方の兵士が多数死 傷してきましたが、現在問題になっているのは武装した兵士に関してではなく、合法的に活動している人たちが、マルコス政権以降のアキノ、ラモス、エストラ ダ大統領といった歴代政権のなかで、群を抜いて公権力が関与したとみられる殺害事件の犠牲になっているという事態です。

出所:
フィリピン 人権弾圧(活動家・記者・教会関係者の殺害)
・"Ex-SC justice heads probe of leftist slays Jose Melo, NBI chief, bishop in commission" INQ7.NET, 21 August, 2006. (英語)

参考:アムネスティ・インターナショナル 「フィリピン-政治的殺害、人権、和平プロセス」"PHILIPPINES Political Killings, Human Rights and the Peace Process"(英語)

(2006年08月10日 掲載)