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米国連邦最高裁が領事関係条約違反の死刑判決に関する事件を却下

  米国連邦最高裁は5月23日、死刑判決を受けたメキシコ人による領事関係に関するウィーン条約上の領事機関への通報の権利を侵害されたとする請求を退けました。
  原告は、93年に少女二人を強姦、殺害したことを認め、94年テキサス州裁判所で有罪となり、死刑判決を受けていましたが、控訴審後、テキサス州が領事関 係に関するウィーン条約が規定する領事機関への通報の権利を通知されていなかったとして連邦裁判所で人身保護訴訟を起こしていました。領事関係条約の36 条は、外国人が逮捕・勾留された場合、その国にあるその人の本国の領事機関に遅滞なく通報される権利があることを告げられるとしています。領事機関は通報 を受け、逮捕・勾留された自国民を訪問し、弁護人を斡旋するなどの権利を有しています。
  一方、メキシコ政府はメキシコ人51人が領事機関に通報される権利について知らされることなく有罪となったことについて国際司法裁判所(ICJ)に米国を相手に訴訟を提起していました(Avena事件)。 2004年ICJは米国に対して、逮捕・勾留されたメキシコ人に領事機関に通報される権利があることを遅滞なく告げなかったこと、領事機関にメキシコ人の 逮捕・勾留について遅滞なく通報せず、自国民と通信し、支援する権利を侵害したことにより領事関係条約の違反があったと判断し、米国に対し、当該メキシコ 人の有罪判決および刑を見直し、再検討することを求めました。
  最高裁が本件を受理した後、ブッシュ大統領は米国が上記ICJの判決に基づく国際的義務を果たすとし、礼譲の原則に基づき州裁判所にICJの判決の実施を 求める覚書を発しました。原告はそれを根拠に州裁判所において人身保護訴訟を提起したため、最高裁は再び本件を取りあげる可能性があることを指摘した上で 却下することを決定しました。
  米国に対しては、98年にパラグアイが米国に対し、死刑判決を受けた自国民が領事機関に通報される権利があることを告げられていなかったとICJに訴訟を 提起し、98年に取り下げたのをはじめ、01年にはドイツが同様の事件で訴え、ICJは米国が領事関係条約に違反したと判断していました。この事件では、 ICJが執行を停止するよう仮保全措置を命令していたにもかかわらず、死刑が執行されていました。
  05年3月、米国は領事関係条約の紛争をICJに付託することを決めた同条約選択議定書から脱退しました。

出所:Jose Ernesto Medellin, Petitioner v. Doug Dretke, Director, Texas Department of Criminal Justice, Correctional Institutions Division (英語)
参考:
 メキシコ対米国(Avena事件)判決 (英語)
 パラグアイ対米国(Breard事件) (英語)
 ドイツ対米国(LaGrand事件) (英語)


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