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世界最大級のジェンダー平等に関する国際会議『WOMEN DELIVER CONFERENCE 2026』(2026年4月27日~30日、メルボルン)報告

(福田 和子)

2026年4月27日から30日にかけて、オーストラリア・メルボルンで世界最大級のジェンダー平等に関する国際会議『WOMEN DELIVER CONFERENCE 2026』に参加してきました。

 世界は、悪くなっている。
 世界は、良くなっている。
みなさんは、どちらの感覚が強いでしょうか。

世界189カ国から、6000人以上が集結したこの会議。私自身は初めての参加ではなく、今回が2019年のカナダ・バンクーバー、2023年のルワンダ・キガリでの開催に次いで3回目の参加となりました。今回は「SRHRforALLアクション!」メンバーの皆さんと参加できるということで、それ自体には心強さを感じながら、ジェンダー平等や人権、民主主義そのものに対する逆風が世界中で強く吹き荒れる中、一体どんな落胆と絶望に満ちた会議になるのだろうと不安もつきない準備期間でした。

しかし実際に行ってみると、そこにあったのは、「人権を守る仕組みが壊されつつある今だからこそ、よりよい世界をつくっていこう!」という、まったくへこたれないエネルギーと熱気でした。
会場には、本当にさまざまな人が参加していました。女性、多様なSOGIEの人びと、障害のある人、先住民族、移民、難民、性暴力サバイバー、セックスワーカー、紛争下に生きる人たち、気候変動の影響を大きく受けている人たち...。立場も、アクティビスト、市民社会・NGO、研究者、政府関係者などさまざまです。
それぞれが、いろんな立場や属性をもちながら、変革の主体として、ジェンダー平等、人権、ジャスティスの実現のために声をあげ、対話し、連帯をしていました。

開催されたセッションには、例えば以下のようなものがあります。(福田訳)

● テクノロジーを介した女性に対する暴力を終わらせるためのグローバル連合の構築
● 変化と行動のための声:FGM/C(女性性器切除)に反対する、エンパワーされた若者主導のアドボカシー
● デジタル包括的性教育(CSE)の推進:グローバルな教訓と協働
● 女性の権利は譲れない:紛争、権力、そして説明責任
● 中絶アクセスを現実のものとして守る:スティグマと気候危機の圧力が私たちに強いること、私たちが声を上げて語るべきこと
● 私たち抜きに、私たちのことを決めないで:SRHRアドボカシーにおいて思春期の少女たちのオートノミー(自己決定権)を中心に据える
● ユース主導のSRHR革命:IPPFおよびYouth OCEANS Pacificによる太平洋地域SRHRユース戦略と『Pleasurenesia Guide』の発表
(※「Pleasurenesia」は、Pleasureと太平洋の島嶼地域の呼称を組み合わせた造語)
● 性と生殖の健康を脱植民地化する:システム変革を主導する先住民族女性たち
● 土地収奪・移住・エージェンシー:SGBV(性的・ジェンダーに基づく暴力)に対するコミュニティ主導の変革的アクション
● 私たち自身の解放を主導する:フェミニスト障害当事者チェンジメーカーのための事前イベント
● リプロダクティブ・ジャスティスの最前線に立つセックスワーカーたち
● 刑務所はフェミニズムの課題である――なぜ女性たちは貧困や"属性"ゆえに犯罪化されるのか」

「今の社会の仕組みは、私たちの存在を想定していない」
そんな思いを、もう誰もしなくて済むように。
すべての人が前提とされる社会を、どうつくるのか。そのことが、あらゆるセッションで真剣に議論されていました。

会議では、650人以上の参画をもって作られた「ジェンダー平等のためのメルボルン宣言」も採択されました。こんな状況の今だからこそ、よりよい社会を作っていくんだという強い意気込みが感じられます。以下、一部抜粋です(#なんでないのプロジェクト訳)。

「私たちは、ジェンダー平等の成果を形作る幅広いアクターや機関が危機に瀕している今、 この宣言を発出します。政府および政治的アクターは、性と生殖に関する健康と権利 (SRHR)、身体の自己決定権、民主的権利、市民的空間を含む人権をあからさまに後退させ、 無視し、損なっています。同時に、気候危機、生物多様性の喪失、戦争、ジェノサイド、 ファシズム的地政学の中で、少女や女性は、貧困、社会的地位、生存のための行動を理由に犯罪化されています。多国間システムは攻撃にさらされ、反人権的な勢力は自らのアジ ェンダを推進するためにそれを利用しています。高まる権威主義、原理主義、ファシズム は、進歩的な市民社会とアカウンタビリティの仕組みを弱体化させようとしています。世界経済システムは、債務負担と緊縮財政を強いており、それは、一部の国家において、たとえ政治的意志があったとしても、公共サービス、開発、権利の実現への投資を制限します。国家は、人々の権利やニーズへの投資よりも、戦争や軍国主義にますます資源を注ぎ込んでいます。今こそ、変革に向けた長期的な戦略を掲げて団結することが求められています。」

「要するに、ジェンダー平等のエコシステムを形づくってきた社会の仕組みは、今崩壊しつつあります。そしてそれらはこれまでも、多くの少女、女性、多様なジェンダーの人々にとって、必ずしも役割を果たしてきたわけではありません。今こそ、これらのシステムを全面的に見直し、すべての人の不可侵の人権に基づいた、人間中心の脱植民地化された新たな仕組みへと全面的につくりなおす機会でもあります」

この宣言へは、公式サイトから誰でも賛同を示すことができます。
曲がりなりにも存在してきた人権や平和のための枠組みが権力者によってことごとく無効化され、壊されつつある今。ここで諦めるのではなく、いっそゼロから作り直そう、すべての人の人権を守る、世界の新しい仕組みづくりをいかにしてここからつくっていくんだ。今回の参加を通して、そんな強い思いを持ち続けることの意味を痛感しました。根底からの変革が、いま強く、改めて求められているのです。

Women Deliver 公式サイト:womendeliver.org
「ジェンダー平等のためのメルボルン宣言」について:Melbourne Declaration for Gender Equality
「ジェンダー平等のためのメルボルン宣言」和訳:#なんでないのプロジェクト | 【ジェンダー平等のためのメルボルン宣言】日本語訳公開

(2026年10月21日 掲載)