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人権理事会の作業部会によるモンゴルへの訪問(2012年10月8日~18日)

 「ビジネスと人権に関する指導原則」の生みの親であるジョン・ラギー国連事務総長特別代表の後継として、「人権と多国籍企業並びにその他の企業の問題に関する作業部会」が国連人権理事会の2011年決議(A/HRC/RES/17/4)によって設置されました。作業部会は、指導原則の普及と実施を促進するための任務のひとつとして国別訪問を行います。第1回目となる国別訪問が2012年10月8日から18日にモンゴルで行われました。その報告書が2013年4月2日付で公表されました。

モンゴルでは、牧畜を中心とした伝統経済から市場経済へ政治と経済の両面で急速な変革が起きており、実質GDPは1990年比の2倍以上となりました。一方、変革を牽引してきた資源開発に携わる企業や事業者が労働者や遊牧民などの人権を侵害していると懸念されています。採掘作業における劣悪な労働条件や健康への権利への悪影響はもちろん、遊牧民のなかには、業者のトラックや採掘機材が到着して初めて、自分たちの土地で事業が始まることを知ったというケースが報告されています。

これらの懸念事項を受けて、作業部会ではモンゴル政府だけでなく、企業に対しても勧告を出しました。そこでは自社の苦情処理メカニズムの運用を確保することのほか、事業を行う地域の遊牧民や住民と定期的に対面で協議を行うことなどが盛り込まれています。

作業部会による国別訪問は、モンゴルに続いて米国、ガーナで実施され、今後はロシアで行われる予定です。国家だけでなく企業に対して国際社会が勧告を示す点で画期的であり、今後も注目したい取組みです。

菅原絵美(大阪大学大学院国際公共政策研究科特任研究員)

出所:

“Report of the Working Group on the issue of human rights and transnational corporations and other business enterprises: visit to Mongolia”(2 April 2013), A/HRC/23/32/Add.1. 

OHCHR, “Working Group on the issue of human rights and transnational corporations and other business enterprises”, http://www.ohchr.org/EN/Issues/Business/Pages/WGCountryVisits.aspx

OHCHR, “Country visits of the Working Group on the issue of human rights and transnational corporations and other business enterprises”, 

http://www.ohchr.org/EN/Issues/Business/Pages/WGCountryVisits.aspx

(2013年08月20日 掲載)