MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. 2001年ダーバン会議(反人種主義・差別撤廃世界会議)とその後の動向
  4. 人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する世界会議 平等、正義、尊厳

2001年ダーバン会議(反人種主義・差別撤廃世界会議)とその後の動向

人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する世界会議 平等、正義、尊厳

記事資料01/16-J
2001年2月14日

2001年8月31日-9月7日
南アフリカ・ダーバン

「偏狭、憎悪、偏見--これらは、人類が常に、そして至るところで苦しんでいる病の醜悪な徴候です。人種主義を全てなくすことは可能です。将来その方向へ向かって行くでしょうし、私たちはそれをやり遂げなくてはならないのです」

--コフィ・アナン国際連合事務総長

  1948年に世界人権宣言が採択されてから50年、人種主義、人種差別、排外主義、および関連の不寛容との闘いにおいて、国際社会は幾つかの重要な前進を遂げました。国内法および国際法が施行され、特に人種差別を禁止する条約をはじめとする人権に関する多数の国際法律文書が採択されました。歩みは止まることなく--ついに南アフリカにおいてアパルトヘイトが廃止されたのです。しかし、人種間の憎悪や偏見から世界が完全に開放されるという夢は、その半ばまでしか達成されていません。
  最新の技術により世界中の人々が密接に結びつき、政治の境界線が取り外されても、人種差別、排外主義、および関連の不寛容は依然として私たちの社会を荒廃させています。近年「民族浄化」をはじめとする様々な恐怖が現れ、人種的優越という考え方がインターネットなど新しい情報手段を通じて広まっています。グローバル化が進んでも、民族および人種主義という点から見ると、様々な危険性を内包しており、それが排他主義を生み、不平等をさらに増すことにもなりかねないのです。
  人種差別および民族主義による暴力行為が複雑な発展を見せているため、国際社会にとってより大きな問題となっています。その結果、人種主義に対処するための新しい対策が必要とされています。今回の会議の事務局長を務めるメアリー・ロビンソン人権高等弁務官は「新世紀の始まりに当たり、この世界会議は最も重要な会議となる可能性を持っています」と述べました。ロビンソン氏はさらに、こう言っています。「いいえ、それ以上かもしれません。今回の世界会議は、私たちが人類という一つの家族の一員だという共通の信念に基づき、新世紀の精神を形成し、それを具体化することを可能にするものです」

ミレニアム(新世紀)の挑戦に立ち向かう

  1997年国連総会は決議52/111において、「人種主義、人種差別、排外主義、および関連の不寛容に反対する世界会議」開催を決定しました。2001年8月31日から9月7日にかけてダーバンで開かれる世界会議は、高等弁務官によれば「各国政府が各自行なった約束を実際に実行しているか否かを確認するための強力な調査・管理機構を必要とする」あらゆる形態の人種主義を根絶するための闘いにおいて、一つの画期的な出来事となることでしょう。ロビンソン氏は、「会議を単なる机上の空論に終わらせることなく、実際の行動に結びつける」ことを約束しました。世界会議は21世紀における人種主義との戦いにおいて、新たな世界的ヴィジョンを描くためのかけがえのない機会となるでしょう。

2001年に予定されている会議

1月15-16日 非公式の協議(スイス、ジュネーブ)
1月22-24日 アフリカ地域政府間会議(セネガル、ダカール)
2月19-21日 アジア地域政府間会議(イラン・イスラム共和国、テヘラン)
3月6-9日 部門間の開放型作業部会(スイス、ジュネーブ)
5月21日-6月1日 準備委員会第2回会合(スイス、ジュネーブ)
8月31日-9月7日 人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する世界会議

準備過程

  世界会議の準備委員会の役割を果たしているのは、国連人権委員会です。会議の開催以前に、2つの政府間会議が開催される予定になっています。第1回会議は2000年5月1日から5日にかけてジュネーブで開催されましたが、第2回会議は2001年5月21日から6月1日にかけて同じくジュネーブで開催される予定です。第1回会議において各国政府は、世界会議の暫定議題ならびに手続規則の草案をはじめとして数多くの組織上の決定を行ないました。各国政府は1月に非公式の協議を行い、過去2年間に行なわれた6回にわたる専門家セミナーの諸提案を検討しました。さらに、世界会議で採択される予定の宣言草案および行動計画についても検討を行ないました。
  1999年と2000年には、6つの地域専門家セミナーがジュネーブ、ワルシャワ、バンコク、アディスアベバ、サンチャゴデチリで開かれました。各セミナーの目的は、各地域において最も憂慮されている問題について話し合い、人種主義に関する地域の対話を促進し、認識を高め、人種主義と不寛容に関する情報を共有し、また「最良の模範となる手法を学び合う」ことでした。
  専門家セミナーが主として取り上げた問題は、難民や多民族国家、犠牲者の救済策、少数民族の保護、移民、人身売買、民族紛争、被害を受けやすいグループのための社会的措置などです。
  地域政府間会議も開催されています。2000年10月にはヨーロッパ諸国がストラスブールに集まりました。アメリカ地域会議は12月にサンチャゴデチリで、アフリカ地域準備会議は2001年1月にダカールで、アジアグループ会議は2001年2月にテヘランで開催されました。非政府組織も、同様の準備作業を世界中の至るところで行いました。

暫定議題

暫定議題の各項目は、以下のテーマに基づいてグループ分けすることができます。
テーマ1:人種主義、人種差別、および関連の不寛容の源、原因、形態、現代社会における徴候。
テーマ2:人種主義、人種差別、および関連の不寛容の犠牲者。
テーマ3:国家、地域、国際レベルにおける人種主義、人種差別、および関連の不寛容の根絶を目的とした防止、教育、保護策。
テーマ4:国家、地域、国際レベルにおける効果的な救済策、償還請求、賠償、(補償の)、およびその他の政策。
テーマ5:人種主義、人種差別、および関連の不寛容と闘う際の国連ならびにその他国際機構の協力および強化をはじめとする、完全かつ効果的な平等を達成するための戦略。
テーマ4には括弧で括られた言葉がありますが、これは"compensatory"(「補償の」)という言葉には合意が未だ得られていないためです。

人種主義に対するグローバルな対策

 創立以来、国連は人種差別および民族紛争と闘うための様々な方法を見出そうと努力してきました。こういった人間の尊厳と平等の希求は、数多くの決議、条約、宣言の採択に反映されています。例えば、
1948年
集団殺害罪の防止および処罰に関する条約
(Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide)
1963年
あらゆる形態の人種差別撤廃に関する宣言
(Declaration on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination)
1965年
あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約
(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination)
1966年
3月21日を「国際人種差別撤廃デー」と定める
(International Day for the Elimination of Racial Discrimination)
1973年
アパルトヘイト犯罪の抑圧および処罰に関する国際条約
(International Convention on the Suppression and Punishment of the Crime of Apartheid)
1978年
人種主義および人種差別と闘うための第1回世界会議(ジュネーブ)
(First World Conference to Combat Racism and Racial Discrimination)
1983年
人種主義および人種差別と闘うための第2回世界会議(ジュネーブ)
(Second World Conference to Combat Racism and Racial Discrimination)
1973-1982年
第1次人種主義および人種差別と闘う10年
(First Decade to Combat Racism and Racial Discrimination)
1983-1992年
第2次人種主義および人種差別と闘う10年
(Second Decade to Combat Racism and Racial Discrimination)
1993-2003年
第3次人種主義および人種差別と闘う10年
(Third Decade to Combat Racism and Racial Discrimination)
2001年
人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する世界会議
(World Conference against Racism, Racial Discrimination, Xenophobia and Related Intolerance)

人種差別に反対する世界会議への参加

世界会議ならびに準備委員会の各セッションの参加対象は以下の通りです。
国連の全加盟国
地域会議の準備に関わる全ての地域組織ならびに委員会
国連総会からオブザーバーとして招待状を受け取った組織の代表者
国連専門機関、地域委員会、組織、プログラム
国連の人権関連機構の代表者
国連経済社会理事会決議1996/31に基づき、オブザーバーとして代表者を派遣する関連非政府組織(NGO)
その他オブザーバーとして参加する関連政府機関

国際年

 1998年、国連総会は2001年を「人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する動員の国際年」と宣言することを定めました。この行事は世界中の関心を会議の諸目的に集め、人種主義ならびに人種差別撤廃に向けてさらなる政治参加を促す契機となるでしょう。

詳細情報

 世界会議に関する情報と資料は、国連人権高等弁務官事務所のホームページwww.unhchr.chで入手することができます。また、情報と資料は、ニューヨークとジュネーブの国連広報局(DPI)や世界各地の国連広報センターでも入手できます。
詳細は、以下に直接お問い合わせ下さい。
国連人権高等弁務官事務所
世界会議事務局
住所  :Palais Wilson
52 rue de Paquis, CH-1201 Geneva, Switzerland
電話  : (41-22)917-9290
ファクス: (41-22)917-9022
Eメール:tshiawlk.hchr@unog.chあるいは
     husbands@un.org
国連広報局広報部
住所  :Room S-1040
New York, NY 10017,U.S.A.
電話  : (212)963-3771
ファクス:(212)963-1186
Eメール:vasic@un.org
NGOからのご質問は、下記に連絡してください。
世界会議事務局
Dr. Laurie Wiseberg(NGO連絡担当者)
住所  :OHCHR Palais Wilson,
Room 4-025, 52 rue de Paquis
CH-1201 Geneva, Switzerland
電話  :(41-22) 917-9393
ファクス:(41-22) 917-9050
Eメール:lwiseberg.hchr@unog.ch
世界会議NGO渉外担当責任者
Ms. Sandra Aragon
住所  :OHCHR Palais Wilson,
Room RS-181, 52 rue de Paquis
CH-1201 Geneva, Switzerland
電話  : (41-22) 917-9129
ファクス:(41-22) 917-9050
Eメール:saragon.hchr@unog.ch

(DPI/2091/Rev.3. Feb'01)