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「人をさがす」(「企業と人権」ワークショップ)

 企業は人権を尊重する責任があるとされる。しかし、その責任を果たすためには、「人権」とは何かについての理解、とりわけ企業活動と「人権」との関わりについての理解が不可欠である。ところが、日常的な「人権」の理解やイメージと、「企業と人権」の取り組みの中で求められる「人権」の理解とは、必ずしも一致しているわけではない。企業には、広く深く「人権のレンズ」=人権感覚をもって日々のあらゆる企業活動をみていくことが求められている。
 このワークショップは、バリューチェーンからみた企業の事業活動の中に、どのような「人権」の問題があるのかについて参加者の「気づき」を促すことを目的としている。CSRに取り組む企業にとっては社員研修にとり入れることでCSRの社内浸透を図ることができる。また、実務経験のない学生にも、内容を工夫することによって、「企業と人権」についての理解を促すことができる。

  • テーマ(目的):企業活動と人権との関わりに気づく
  • 対象レベル:企業の構成員、大学生
  • どの人権に関わる内容か:企業活動と人権、ビジネスと人権
  • 所要時間:レクチャーに1時間程度、ワークショップに1時間程度

Ⅰ.準備するもの

  • 模造紙(グループ数分)
  • フェルトペン(参加者人数分)
  • 大きめのポストイット(各グループ適当数)

Ⅱ.進め方

 【前提】

  1. 受講者の知識・了解レベルに合わせて事前にレクチャーを設定し、その内容をワークショップの前提とすることが必要。
  2. レクチャーには、①「企業と人権」または「CSRと人権」に関する基本的な内容、及び②世界人権宣言等の人権基準に関する基本的な内容、➂バリューチェーンに関する簡単な説明を含ませる必要がある。

 【準備】

  1. 一般的な企業活動のプロトタイプ(基本型)として製造業を例にとり、素材、原料、エネルギー、労働などの資源を投入して生産物を生み出し、それを供給していくプロセス(調達先-企業-消費者〔取引先〕)について説明する。
    →(参考:バリューチェーンのプロセス
  2. ある1業種(例えば誰もがイメージしやすいパン製造販売業)を設定し、事業展開内容、従業員数などを確定しておく。パン製造販売業では例えば次のように設定する。
  • レストラン店舗で製造・販売している。
  • 工場でも製造している。
  • 国内10店舗、海外5店舗を展開している。
  • 店舗販売のほかに、他社スーパー、社員食堂等へも納入している。
  • 従業員数:国内150人、海外100人。

 【展開】

  1. グループ(3~5名)に分かれ、まず、模造紙に「調達先-企業-消費者〔取引先〕」の事業プロセス図を大きく描いてもらう。

     
     
  2. 事業プロセスの中で、どのような人(ステークホルダー)との関わりが生じており、そこにどのようなCSR課題(とくに人権課題)が考えられるかについて、グループで議論し、ポストイットに書いて事業プロセス図に貼り付けていってもらう。例えば次のようなポストイットとなる。

     

    進め方は各グループに任せるが、例えば次のような方法が考えられる。― 最初に一人ひとりが自分が考えるステークホルダーやCSR課題(人権課題)をポストイットに書き出し、模造紙に貼付していく。各人が貼付し終わった後にグループで議論して重複したポスイットを剥がすなど整理する。(最初から議論しながら進める方法もある。)
     
  3. 社員食堂、スーパー、海外店舗など、基本的な事業プロセス図以外の要素を自由に想定し、模造紙に追加して書き入れてもよい。
  4. 一定時間経過後、各グループが発表し、ワークショップ全体で共有する。講師が必要なコメントを述べ、全体をまとめる。
  5. (オプション)さらに、議論して考えた人に関わるCSR課題(=人権課題)が、世界人権宣言のどの項目と関係するかについても、ポストイットに書いてもらう。

Ⅲ.留意点など

  1.  企業の事業活動プロセスの中での具体的な人との関わりを議論しながら考えることにより、ステレオタイプ的な「人権」理解から脱却し、普遍的な人権についての「気づき」と思考方法の変化を促すのが目的である。絶対的な正解と不正解があるわけではない。
  2. その意味でも、一定の知識と前提条件の共通理解を前提とした上で、「想像力」を自由に働かせてもらうことが、参加意識を高めてもらうことにもつながる。

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