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国連人種差別撤廃委員会、日本に対して多くの勧告を採択~高校無償化から朝鮮学校除外に懸念

 国連人種差別撤廃委員会(以下、委員会)は、人種差別撤廃条約の実施状況をまとめた日本政府報告(第3回~6回)の審査を2010年2月24日と25日に行いましたが、18人の個人資格の専門家で構成される委員の協議を経て見解や勧告を含む総括所見を採択し、3月16日に公表しました。今回は2001年 3月に第1回&2回報告を対象に初めて審査が行われて以来9年ぶりの審査となりました。

 今回の総括所見は、合計35のパラグラフのなかに、肯定的側面と数多くの懸念・勧告が盛り込まれています。肯定的側面として、委員会は、ミャンマー難民の再定住プログラムを試験的に開始したこと、国連先住民族に関する権利宣言を支持した、アイヌ民族を先住民族として認め、「アイヌ政策推進会議」を設置したこと、インターネット上の不法、あるいは有害情報を規制する法制度を進めたことをあげています。

 一方、懸念と勧告は多岐に及んでいます。まず2001年に委員会によって採択された総括所見に基づいて日本が具体的にとった実施措置に関する情報が十分ではないことを懸念するとともに、国内法の規定が条約の効果的実施を確保するようにあらゆる必要な措置をとるよう勧告しています。

 具体的には、人権の保護に関する法律を制定して、パリ原則にのっとった独立した人権機関を設置すること、人種的優越や憎悪に基づいた発言の流布を禁止することは表現の自由を侵すことにはならないとしたうえで、条約第4条(a)(b)(人種差別の宣伝・扇動の法律による禁止と処罰)の留保の撤回を検討するとともに、差別を禁止する国内法が存在していないことを補い、憲法、刑法、民法を効果的に実施し、インターネット上の憎悪発言など人種主義的表現に対して敏感になるよう意識啓発をすることを勧告しています。

 また、第1条の定義にある「世系」は単に人種を指すと解釈するべきではなく、条約にしたがって包括的な定義を行うことを求めています。そのうえで、政府内に部落問題を扱う担当部局を決めること、被差別部落民に関して統一した定義をもつよう適切な人びとと協議すること、周辺地域を巻き込んだ人権啓発に取り組むことなどを勧告しています。

 アイヌ民族に関して、委員会は、アイヌ民族の代表と協議を行って、アイヌの権利に明確に焦点を当てた政策やプログラムを策定するためにさらに取り組むこと、またそうした協議へのアイヌ民族の代表者の参加を増やすことを勧告しています。

 沖縄の人々の被っている差別を監視し、彼らの権利を推進し適切な保護措置・政策を確立することを目的に、沖縄の人々の代表と幅広い協議を行うよう奨励する、としています。 さらに、義務教育のなかで、アイヌ語・琉球語を用いた教育、そして両言語についての教育を支援することを奨励すると踏み込んで述べています。

 また、朝鮮学校を高校無償化の対象から除外する動きについて懸念を表明したうえで、日本国籍をもたない子どもたちの教育の機会に関する法規定に差別がないようにすること、義務教育において子どもたちがいかなる妨害も受けることがないようにすること、外国人のための学校制度などについて調査を実施すること、自分たちの言葉で授業を受けられるような機会の提供を検討することを勧告しています。さらに、ユネスコ教育差別禁止条約への加入を検討することとしています。

 日本の NGOの人権分野における積極的な貢献に留意したうえで、次回報告書作成の協議にNGOの効果的な参加を保障することとしており、次回第7、8、9回の定期報告書は2013年1月14日までに提出することを求めています。


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