1. TOP
  2. 企業と人権
  3. ビジネスと人権に関する指導原則
  4. 原則7

原則7

重大な人権侵害のリスクは紛争に影響を受けた地域において高まるため、国家は、その状況下で活動する企業がそのような侵害に関与しないことを確保するために、次のようなことを含めて、支援すべきである。

(a) 企業がその活動及び取引関係によって関わる人権関連リスクを特定し、防止し、そして軽減するよう、できるだけ早い段階で企業に関わっていくこと。

(b) ジェンダーに基づく暴力や性的暴力の双方に特別な注意を払いながら、侵害リスクの高まりを評価しこれに対処するよう、適切な支援を企業に提供すること。

(c) 重大な人権侵害に関与しまたその状況に対処するための協力を拒否する企業に対して、公的な支援やサービスへのアクセスを拒否すること。

(d) 重大な人権侵害に企業が関与するリスクに対処するために、国の現行の政策、法令、規則及び執行措置が有効であることを確保すること。

解説

企業が関与する最も深刻な人権侵害には、領域や資源の支配、または政府そのものの支配をめぐる紛争において、人権体制がしかるべく機能することを期待できない場合に起きるものがある。責任ある企業は、このような難しい状況において人権侵害を助長するのを避ける方法について、ますます政府の指導を求めるようになってきている。革新的で実践的なアプローチが必要である。なかでも、紛争時に特に頻発する性的及びジェンダーに基づく暴力のリスクに注意を払うことが重要である。

現場の状況が悪化する前に、早急に問題に取組むことが全ての国家にとって重要である。紛争影響地域では、実効的な支配が欠如しているため「受入」国が適切に人権を保護できないこともありうる。したがって、多国籍企業が関与している場合、その「本」国には、当該企業及び受入国がともに、企業が人権侵害に関与しないことを確保するために支援を行う役割があり、同時に近隣諸国は重要な追加的支援を供与することもできる。

本国は、政策の強い一貫性を確保し、そのような状況でもそれ相当に企業を支援するために、以下のことをすべきである。すなわち、本国の首都及び出先大使館にある、開発援助機関、外務省や貿易省、及び輸出金融機関の間の、またこれら諸機関と受入国政府機関の間のより緊密な協力関係を醸成すること。政府機関及び企業に対して問題への注意喚起をするために早期警戒指標を開発すること。このような状況において企業が協力しなかった場合に、既存の公的支援及びサービスを拒否または撤回し、またそれが不可能な場合は将来の提供を拒否することなど、しかるべき対応をすること。

国家は、紛争影響地域では重大な人権侵害に関与するリスクが高いことを企業に警告すべきである。国家は、企業による人権デュー・ディリジェンスの実施のための規定を通じてを含む、その政策、法令、規制及び執行措置がこの高いリスクに有効に対処できるものであるかどうかを再検討すべきである。ギャップが明らかな場合には、国家はそれらに対処するために適切な手段をとるべきである。これには、その領域及び/または管轄内に住所を持つかもしくはそこで事業活動をする企業で、重大な人権侵害に関与しまたは助長したものの民事、行政及び刑事責任を検討することが含まれることもある。さらに、国家は、そのような行為を防止し、それに対処し並びに実効的な協同行動を支援するための多数国による共同アプローチを考慮する。

これらの措置はすべて、武力紛争の状況における国際人道法及び国際刑事法の下の国家の義務への追加である。

ページのトップへ