1. TOP
  2. 企業と人権
  3. ビジネスと人権に関する指導原則
  4. 原則4

原則4

国家は、国家が所有または支配している企業、あるいは輸出信用機関及び公的投資保険または保証機関など、実質的な支援やサービスを国家機関から受けている企業による人権侵害に対して、必要な場合には人権デュー・ディリジェンスを求めることを含め、保護のための追加的処置をとるべきである。

解説

国家は個々には、国際人権法の下では主要な義務負担者であり、集合的には、国際人権体制(10)の受託者である。企業が国家によって支配される場合や、さもなければその行為が国家によると考えられる場合、企業による人権の侵害は、国家自体の国際法上の義務違反となりうる。さらに、企業が国家に近ければ近いほど、あるいは企業の活動が法的根拠や租税による財源に依存すればするほど、企業が人権を尊重することを確保するためにとられる国家の政策の理論的根拠は強くなる。

国家が企業を所有するか支配している場合には、国家はその権限の範囲内で、人権尊重に関連する政策、法律及び規制が施行されることを確保するためにきわめて強力な手段を持つ。上級管理職が国家機関に一般的に報告を行い、政府関連部局は、人権デュー・ディリジェンスが実効的に実施されることを確保するなど、監視や監督のためのより大きな機会を持つことになる。(これら企業は第II章で扱われる人権を尊重する企業の責任の対象でもある。)

公式にまたは非公式に国家につながるさまざまな機関が、企業活動に支援とサービスを提供することがある。これらは、輸出信用機関、公的投資保険・保証機関、開発機関、及び開発金融機関などを含む。これら機関が受益企業の実際のもしくは潜在的な人権への負の影響をはっきりと考慮していない場合、機関は、そのような侵害を支援したということで、評判の面で、金銭的、政治的、及び潜在的には法的な意味で、自身をリスクにさらし、受入国が抱える人権問題をさらにこじらせる可能性がある。

これらのリスクを前提に、国家は、機関それ自体や国家の支援を受ける企業及び企画事業に、人権デュー・ディリジェンスを奨励し、そして必要な場合、求めていくべきである。人権デュー・ディリジェンスを求めることは、事業活動の性質や活動状況が人権に重大なリスクをもたらす場合に最もふさわしくなる。

 

(10) 訳者註)国際連合やILOなど世界の国々が加盟する国際機関では、人権関連の課題を取り上げ、人権保護促進のために、条約、人権課題を取り上げ国際的な合意を形成し実施するための機関や制度を作り上げてきた。これを総称的に国際人権体制(international human rights regime)という。

ページのトップへ