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原則25

ビジネスに関連した人権侵害から保護する義務として、国家は、その領域及び/または管轄内において侵害が生じた場合に、司法、行政、立法またはその他のしかるべき手段を通じて、影響を受ける人々が実効的な救済にアクセスできるように、適切な措置を取らなければならない。

解説

ビジネスに関連した人権侵害が生じたときに、それを捜査し、処罰し、及び是正するための適切な措置を国家が怠るならば、その保護義務は弱められ、また無意味とさえなりかねない。

実効的な救済へのアクセスには、手続的及び実体的な両側面がある。本章で取り上げる苦情処理メカニズムにより提供される救済は、一定の具体的な形をとることが可能であり、その目的は、大まかに言えば、人権にもたらされた害を除去しまたは補償することである。救済には、謝罪、原状回復、リハビリテーション、金銭的または非金銭的補償、及び処罰的な制裁(罰金などの刑事罰または行政罰)や、例えば行為停止命令や繰り返さないという保証などによる損害の防止を含む。救済を提供する手続は、公平であり、腐敗から守られ、結果に影響を及ぼそうとする政治的またはその他の企みから自由であるべきである。

本指導原則の目的からすれば、苦情の原因は、個人または集団の権利感覚を呼び起こすような不正に対する懸念と考えられ、それは法律、契約、明示的または黙示的な約束、慣習、あるいは害を被った地域社会の一般的な公平性の観念を基礎とすることもあろう。苦情処理メカニズムという用語は、手続として定着した、国家基盤型または非国家基盤型の、司法的または非司法的プロセスを指すために使われ、それを通してビジネスに関連した人権侵害に関する苦情を申し立て、救済を求めることができるものである。

国家基盤型の苦情処理メカニズムは国家の部局または機関によって、あるいは法令または憲法に基づく独立の組織によって運営される。それらは、司法的でも、非司法的でもありうる。メカニズムのなかには、救済を求める際に、被害者が直接関与するものもあれば、仲介者が被害者の代わりに救済を求めるものもある。たとえば、裁判(刑事及び民事訴訟をともに含む)、労働審判、国内人権機関、経済協力開発機構多国籍企業行動指針上の国内連絡窓口(16)、多くのオンブズパーソン事務所及び政府が運営する苦情処理事務所がある。

ビジネスに関連した人権侵害救済へのアクセスを確保するには、国家がこれらのメカニズム、アクセス方法、及びアクセスするための支援(金銭的または専門的支援)について一般の認識と理解を促進することも必要である。

国家基盤型の司法的及び非司法的苦情処理メカニズムは、救済のためのより広範な制度の基礎である。そのような制度の枠内では、事業レベルの苦情処理メカニズムが早期の活用及び解決を提供できる。国家の、そして事業レベルのメカニズムは、それぞれ、協働型の取組みの救済機能によって、また国際的及び地域的人権メカニズムの救済機能によって補完され、強化されうる。これらメカニズムに関するさらに詳しい説明は、指導原則26から31で述べられる。


(16) 訳者註)national contact point (NCP)

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