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国連の活動

第7回アジア・太平洋地域における人権の伸長と保護の地域的取極に関するニューデリー・ワークショップ(出典『アジア・太平洋人権レビュー2000』)

 アジア・太平洋地域に人権の伸長と保護の地域的取極の可能性とその実現に向けた域内諸国間の協力を進めるために、1990年のマニラ会議を皮切りに、第7回目を迎える会議が、1999年2月にインドのニューデリーで開催された。以下、同会議のねらいと経過そして結論と成果について概略的に紹介しておくことにする。

1.会議のねらい

 ニューデリー会議の主要な目的は、前回のテヘラン会議で合意されてスタートした「アジア・太平洋地域の域内技術協力計画枠組み」の下でその後達成した進歩を検証することであり、この地域協力の文脈の中でとられる次のステップと提案される選択肢を確認することであった。つまり、ニューデリー会議は ㈰地域協力の枠組みに関連してとられた後続の行動を検証し、㈪人権の伸長と保護のための地域的協力と可能な地域的取極の設立過程を推し進めるためにとられる次の行動を確認することであった。そしてこの会議目的を達成するために、域内諸国における人権教育の国内行動計画と国内人権機関設立に向けた立法措置などに関連する資料が、国連人権高等弁務官事務所によって用意されて参加者に配布された。さらに、会議の基礎資料として、国連人権委員会の独立の地位にある専門家、A・セングパ氏が準備し提出した「発展の権利」に関する報告とC・ダイアス氏が提出した「人権の伸長と保護のための地域協力」に関する報告ならびに、国内人権機関フォーラムのマニラ会議の報告もあわせて配布された。

2.会議の経過

 まず、ニューデリー会議には、アジア太平洋地域内の29カ国が参加し、オーストラリア、フィリピン、ニュージーランド、インドネシア、スリランカそしてインドの国内人権機関の代表と11のNGOおよび国連開発計画(UNDP)と国連難民高等弁務官事務所からも代表が参加した。

 会議は、1999年2月16日、インドの外務大臣と国連人権高等弁務官の開会辞によって始まり、3日間の議論に入った。会議は、5つのセッションに分けられ、第1セッションは、「アジア・太平洋の地域技術協力の枠組み」について、第2セッションが「人権の伸長と保護および国内力量の強化と人権教育のための国内行動計画」、そして第3セッションは「人権の伸長と保護のための国内人権機関」、第4セッションは「発展の権利および経済的、社会的および文化的権利の実現戦略」そして最後の第5セッションは「アジア・太平洋の地域協力の発展の展望と次に進むべき段階」であった。各セッションでは、専門家による基礎報告に続いて討議が行われた。

 各セッションにおける討議をとおして、参加国代表の多数が、過去の会議の中で繰り返し確認してきた原則とガイドラインに言及している。なかでも、包括的、段階的、実際的で積み上げ方式のアプローチと、さらに地域内諸国政府のコンセンサスによって設定される進捗度と優先順位に従って、人権の伸長と保護のための地域協力が進められるべきであること、そして市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利ならびに発展の権利などすべての人権の普遍性、不可分性、相互依存性および相互補完性、さらには人権の伸長と保護のための国家の力量を国内条件に従って強化することが、人権分野における効果的で持続的な地域協力にとって最も堅固な基盤に資するという信念が繰り返し言及された(これは、結論の中で再確認されている)。

 各セッションの中で多くの政府代表から自国でとられたさまざまな実践と経験について発言があった。それらは、要約すると、㈰人権教育行動計画、㈪人権分野における国内行動計画の策定と準備、㈫法改正、㈬国内人権機関の設立と強化、㈭発展の権利ならびに経済的、社会的および文化的権利の実現戦略、㈮国際人権文書の調印と批准、㈯人権の伸長と保護に寄与するNGO参加の増加、㉀技術協力の計画、などである。

3.会議の結論(全訳)

 1999年2月16日から18日までニューデリー・ワークショップに参加したアジア・太平洋地域の政府代表は、

 前回のワークショップが、とりわけ1998年2月28日から3月2日までに開催されたテヘラン・ワークショップで合意された「地域内技術協力枠組」が果した重要な貢献を想起し、

 すべての人権、すなわち市民的、文化的、政治的、社会的権利と発展に対する権利の普遍性、不可分性、相互依存性および相互関連性を再確認し、

 民主主義、発展および人権と基本的自由の尊重は相互に依存し相互に補完し合うことを認めて、

 人権と基本的自由の普遍的尊重と遵守を伸長する地域的協力の増進に参加し、

 アジア・太平洋地域の広大さと多様性に留意し、

 国連人権高等弁務官がニューデリー・ワークショップに参加したことを歓迎し、

 ジャスワン・シン外相とメアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官が開会会議で行った激励の辞に謝意を表し、

 テヘランの合意による地域的技術協力枠組みの実施において達成した進歩を検証し、

 ワークショップにおいて、発展の権利ならびに経済的、社会的および文化的権利の効果的実現について深度ある討論が行われたことを歓迎し、

 国連人権委員会における発展の権利に関する独立の専門家であるA・セングパ氏によって提出された報告書に謝意を表し、

 人権の伸長と保護のための地域協力の増進は、地域内の政府のコンセンサスにより設定される進捗度と優先順位に従って、包括的、段階的、実際的そして積み上げのアプローチが重要であることを繰り返し確認し、

 人権の伸長と保護のための国家の力量を国内条件に従って発展させ強化することが、人権の分野における実効的かつ持続的な地域協力にとって最も堅固な基礎になることを再確認し、

 すべての人権分野において力量を創出し効果的解決を確保するための発展的アプローチの基本的要件として、技術的協力活動の主流化と効果的調整を要請し、

 現在推進中のプロセスの基本的目標は、国連の人権分野における技術的協力自発基金に基づく国際社会の支援を得て、とくに人権高等弁務官事務所が策定し実施している地域内の技術協力計画を基礎に、地域内諸国が力量の創出と経験の交流をとおして地域的協力を発展させることであることを確認し、

 地域的技術協力計画内容の決定と、今後にこの計画に基づいて達成した進歩と評価ととるべき行動の決定に関連する中心的意思決定の役割は、ジュネーブ駐在のアジア・太平洋地域諸国政府の代表を含むジュネーブの自由な作業チームの支援を得て、既存の年次的政府間ワークショップが担うことを再確認し、

 地域的協力とその実際的な成果を継続的に進めることが可能な地域的取極に関する討論にとって基本的なことであることを認め、

 高等弁務官が、テヘランで採択された「アジア・太平洋地域の域内技術協力枠組」の下で予想される地域計画の実施のために73万米ドルの配分を決定したことを歓迎し、

 国連人権高等弁務官が、加盟国の要請に応えて、地域的人権アドバイザーを、地域内技術協力枠組みに従ってアジア・太平洋地域内の技術的協力実施と関連する地域的プロジェクトの役員としての職務を利用可能にする決定を行ったことに留意し、

 テヘラン・ワークショップ以降、地域的技術協力枠組みの4つの領域において実行した活動に関する国連人権高等弁務官事務所の報告を歓迎し、

 タイと日本が4つの領域のなかの1領域について、年次会議の中間期に地域的ワークショップを招致する意向を表明したことを歓迎し、

 人権高等弁務官事務所が、地域的技術協力枠組みの下に地域的技術協力活動に関する広報部署を設置するよう要請し、

 年次的地域ワークショップが、ジュネーブの自由作業チームの同意を得て、地域的技術協力枠組みの下において指定された4つの領域の1領域に関連する特定のテーマを深度ある討議を行うために取り上げることを決定し、

 人権高等弁務官事務所が地域的技術協力枠組みの下における4つの領域についてニューデリーで行った提案を発展させ実施すること、ならびに達成した進歩についてジュネーブの自由作業チームに定期的に報告し次回のワークショップに報告することを要請する。

(金 東勲)