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1996年の国連の動き

  1. 国連人権委員会
  2. 国連人権小委員会
  3. 国連人権高等弁務官/国連人権センター
  4. 女性の地位委員会
  5. 人権条約機構

4 女性の地位委員会

 国連経済社会理事会の下に設置されている女性の地位委員会は、第40会期を1996年3月11日から22日にかけて開催した。ここでは、「女性の移住労働者への暴力」「女性と少女の売買」「女性の人権のメインストリーム化」などについての決議を採択したほか、世界女性会議のフォローアップなどについても討議を行った。
 また、女子差別撤廃条約の選択議定書(個人通報に関するもの)についての作業部会を3月11日~22日にかけて開催した。事務総長の報告(E/CN.6 /1996/10, Corr.1, and Add.1 and 2)にもとづき一般的な意見交換がされた段階で、具体的な起草作業には入っていない。

5 人権条約機構

 本書第・部金論文で詳しく述べられているように、6つの人権条約が専門家から構成される条約機関を設置し、加盟国の条約の履行状況を監視している(資料1参照)12)
 1997年~1998年の条約機関の会合は表3のとおり(E/1996/INF/2およびhttp://www.umn.edu/humanrts/CALENDAR.htmより)。アジア・太平洋地域の各国の条約の批准状況は、表5参照。

・一般的意見および勧告

 条約委員会は、通常それぞれの担当する条約についての見解や、政府の報告義務についての解釈を一般的意見(勧告)といったかたちで採択する。
 これまで、表4のとおり一般的意見(勧告)が作成されている。

・選択議定書の検討

 国連人権委員会により、子ども権利条約について2つの選択議定書が検討されているほか、女子差別撤廃条約、拷問禁止条約についても選択議定書の起草作業が進められている。これらについては各関連の条約委員会でも討議されている。
  社会権規約委員会も選択議定書作成についての議論を開始しており、その報告が第53会期の人権委員会に提出される予定である。

*なお、本論文のための資料収集にあたっては、反差別国際運動ジュネーブ事務所の田中敦子氏に多くの協力をいただいた。ここに記して感謝したい。

(文:川村 暁雄)

  1. 田中敦子「第52会期国連人権委員会」ヒューライツ大阪Newsletter No.8(1996年7月)参照。
  2. 日本は決議案の採択を求めこの動議に反対した。
  3. 同報告の翻訳は、戸塚悦朗・荒井信一訳『R.クマラスワミ国連報告書』(1996年・日本の戦争責任資料センター)に掲載。
  4. Vienna Declaration and Programme of Action, para. 61.
  5. 苑原俊明「先住民族と人権」ヒューライツ大阪Newsletter No.9(1996年9月)参照。
  6. 約束はされたが未入金のものも含む。
  7. HCHR Monthly Bulletin, Vol. 1, No. 7, October 1996、機構改革の詳細については、A/C.5/50/71参照。
  8. 国連の財政は2年単位となっている。田所昌幸『国連財政-予算から見た国連の実像』(1996年・有斐閣)参照。
  9. UN Press Release, GA/SHC/3390, 14 November 1996.
  10. ウィーン宣言および行動計画、para. 100、なお翻訳は、自由人権協会訳(山崎公士監修)「ウィーン宣言及び行動計画」自由と正義(特集/国連世界人権会議)44巻11号(1993年11 月・日本弁護士連合会)を参照。
  11. A/51/395, Annex, Report of the Director General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural
  12. Organization on educational activities under the project "Towards a culture of peace".
  13. 移民労働者権利条約も条約機関を予定しているが、未発効のためまだ機能していない。