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セミナー「G7サミットと私たち~日々の生活と世界をつなげる」を開催しました(4月27日)

 5月26・27日に三重県で開催される「G7伊勢志摩サミット」を前に、ヒューライツ大阪は4月27日、NPO法人関西NGO協議会と協力してセミナー「G7サミットと私たち~日々の生活と世界をつなげる」を大阪聖パウロ教会で開催しました。約30人が参加しました。
セミナーは、以下のような二つのサブテーマで、3人の講師から報告を受けました。
「地域社会とNGOの視点からSDGsとG7サミットを考える~Civil G7で議論されたことと今後の課題」
・加藤良太(関西NGO協議会 提言専門委員)
・西井和裕(名古屋NGOセンター 理事長)
「ジュネーブから伊勢志摩を見る~“責任あるサプライチェーン”の重要性」
 ・白石 理(ヒューライツ大阪 顧問

 加藤さんは、グローバルな課題である「持続可能な開発目標」(SDGs)が2015年9月に国連で採択されたこと、G7サミットで同目標が主要な議題となり首脳宣言に取り上げられることが効果的な実施につながるということなどを解説し、そのために国内外のNGOが政策提言を行っているという背景を説明しました。
2015年11月に日本の国際協力NGOが中心となって設立した「2016年G7サミット市民社会プラットフォーム」が2016年3月に京都で「Civil G7 対話」という国際会議を開き、「持続可能な開発目標」や気候変動、防災、難民問題など8分野に関して議論しました。同時期に京都において非公開で行われていたG7各国首脳のシェルパと呼ばれる補佐官の準備会合に対して、会議でまとめた政策提言を直接手渡すなどNGOが課題ごとに働きかけを続けている、と加藤さんは報告しました。
 
 西井さんは、サミットが開催される三重県で活動する「みえNPOネットワークセンター」、および理事長を務める「名古屋NGOセンター」などが協力し、2015年12月に東海「市民サミット」ネットワークを立ち上げ、サミットに先立つ5月23日・24日に、四日市で「市民の伊勢志摩サミット」の開催を準備していることを報告しました。
2日間で設ける分科会15のうち、8つの分科会は東海のグループが中心となって企画したといいます(災害、子ども、環境、グローバリゼーションと健康、地域間格差、平和、移民・難民・多文化共生、力強い市民社会)。
「市民の伊勢志摩サミット」は、G7のグローバルな政策に草の根市民の視点が反映されるよう各分科会の提言をまとめ、英文に訳して日本の外務省を通じてサミット開催前に各国首脳に届ける計画です。
(市民の伊勢志摩サミット/http://tokaicn.jimdo.com/市民の伊勢志摩サミット/
 
白石さんは、最近のヨーロッパは、多数の難民の流入を受けて、それまで掲げてきたはずの自由・人権・民主主義などの看板が壊れてきているとし、そのような状況のなかで、ヨーロッパの4ヵ国がメンバーであるG7サミットが開催されるという事情を冒頭に述べました。
前回2015年のドイツのエルマウ・サミットで議論され、首脳宣言に盛り込まれた「責任あるサプライチェーン」という課題は、G7の政府首脳が密室で議論をしたものではなく、ヨーロッパの多くのNGOが突き付けたという背景があります。その成果として、G7として「責任あるサプライチェーン」を促進することを約束し、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」への支持を表明したのです。
 白石さんはまた、労働、社会、環境のどの分野においても、国際基準に沿ったサプライチェーンを実現することが「持続可能な開発」にとって不可欠である、と述べました。そうしたなか、2015年にイギリスでは「現代奴隷制法」、アメリカでは「貿易円滑化及び権利行使に関する法律」が制定され、サプライチェーンにおける奴隷労働や人身取引の防止と規制が図られています。
 しかし、議長国が日本である伊勢志摩サミットでは、「責任あるサプライチェーン」の課題を含むビジネスと人権が主要議題に位置付けられていません。そのような事態を受けて、NGOが「G7各国はビジネスと人権に対する取り組み強化を」という提言を日英で作成し、60団体の賛同を得て、国際的なキャンペーンを行っています。
(写真:右から加藤良太さん、西井和裕さん、関西NGO協議会の榛木恵子さん、下の写真:白石理さん)
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20160427_201315 白石.jpg
 
※セミナー「G7伊勢志摩サミットと私たち~日々の生活と世界をつなげる~」
主催:特定非営利活動法人関西NGO協議会、一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
後援:2016G7サミット市民社会プラットフォーム、東海「市民サミット」ネットワーク
 
<参考>
「2016年G7サミット市民社会プラットフォーム」
G7伊勢志摩サミット:「ビジネスと人権」に関する提言への賛同が60団体に