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レッスン玉手箱

世界人権宣言を学ぶ

富田林市立金剛中学校 松尾 浩子

 中学1年生の国際理解学習(人権総合学習)の中で取り組んだ授業をベースに授業案を作成した。この国際理解学習全体の目的は、次の2つである。① 隣の国である韓国・朝鮮、そしてオリンピックが開催された中国(東アジア)と日本との関係について、歴史を軸として知る。② 地球市民として生きるとはどういうことかを考える。
  国際理解学習の流れを簡単にまとめると次のとおりである。
① 導入:一番近い国 韓国・朝鮮、中国のことを知ろう
② 奈良校外学習に向けての取り組み
③ 日本、韓国・朝鮮、中国の文化にふれよう。
④ 校外学習(奈良公園)
⑤ 現在の隣国との関係
⑥ 世界人権宣言
⑥ ききとり学習(地球市民として)
⑦ まとめ

テーマ 地球市民として生きる
レベル 中学1年生
教 科 総合的な学習の時間
どの人権に関わる内容か 世界人権宣言全体
所要時間 1時間

準備物

  • 大阪府の人権ホームページに紹介されている「私たちの世界人権宣言30条」のうち17の項目(生徒の実情から考えて難しいと思われるものは省いた)を1つずつ印刷したカード。その条文は、第1条(自由平等)、第3条(生存、自由、身体の安全)、第9条(逮捕、拘禁または追放の制限)、第13条(移転と居住)、第16条(婚姻と家庭)、第17条(財産)、第18条(思想、良心、宗教)、第19条(意見、発表)、第20条(集会、結社)、第21条(参政権)、第22条(社会保障)、第23条(労働の権利)、第24条(休憩、余暇)、第25条(生活の保障)、第26条(教育)、第29条(社会に対する義務)、第30条(権利と自由に対する破壊的行動)である。
  • 色鉛筆
  • 模造紙

すすめかた

A.導入 (世界の国、隣国の文化、在日外国人の状況、平和と人権について簡単に説明する)

  • 世界には約200の国があり、人口は約70億人
  • 日本の人口は約1億3千万人。そのうち外国籍の人は約220万人で、中国、韓国・朝鮮籍の人が多い。
  • この国際理解学習で、すでに中国、韓国・朝鮮の文化を体験したことを思い出してみる。

 ※(韓国・朝鮮の伝統打楽器のチャングを体験した生徒の中から12人ほどが、昼休みや放課後に練習を重ね、支援学校との交流会や、2009年度は韓国のイクサン市立プンムル団が訪問して伝統音楽を公演したとき、いっしょに演奏を披露した。)

  • 世界にはたくさんの国があるけれど、地球を宇宙からみると、一つの星で国境はない。
  • 鳥やクジラなどの動物は、国境など関係なく自由に行き来することができる。人も外国に行ったり帰国したりすることができる。しかし、その際、パスポート(旅券)やビザ(査証)を必要とする。時には、人種や宗教の違い等によって戦争がおこることさえある。
  • なぜ人は、地球という一つの星に住む同じ市民と考えることができないのだろう。
    ひとたび戦争がおこると、ふつうに幸せに暮らしたいと願ってもできない。
    (戦争では、野蛮な行為がくりかえされてきた。)
     
  • 第二次大戦後、国際連合で平和の実現のために「世界人権宣言」が採択された。

B. 展開

  • 世界人権宣言の前文を簡単に説明する。
  • 第1条から第30条までを(資料:大阪府/わたしたちの世界人権宣言HP)
    生徒と一緒に読む。

(生徒の活動)どのような人権が尊重されているのか、よく考えて絵で表現する。
lesson-tomita1.jpg lesson-tomita2.jpg

クラス毎に模造紙にカードを貼り、掲示する。

(教員からのメッセージ)

  • アメリカの大統領選挙でオバマ氏が当選したことにふれ、
    若い人の人種を越えた新しい感覚が、オバマ氏を当選させた。
    これからの社会を担うみんなに正しい人権意識を持ってほしい。

授業をふりかえって

 世界人権宣言の文章を読んだだけでは、なかなか意味を理解することは難しい。絵を描こうとしたことにより、自分自身の中で、世界人権宣言の内容をより具体化できたようであった。また、興味深く友だちの作品を見ることにより、たくさんの内容を容易に理解できたようだった。