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知りたい!人権Q&A

人権の概念や内容に関すること
「義務を果たさない人に人権は認められない」という意見がありますが、どう考えたらいいのでしょうか?

Answer

  1. 「クリーン・ハンズの原則」
     「権利を主張する者は、自らの手もきれいでなければならない。」これを「クリーン・ハンズ(clean hands)の原則」といいます。具体的にいうならば、自分が借りた金は返さないのに、自分が貸した金の返済だけを求めることはできない、ということです。この原則は、「義務を果たさぬ者に権利は認められない」と言い換えることもできるのですが、この考え方は人権にも当てはまるのでしょうか。例えば、「勤労の義務」(憲法27条)や「納税の義務」(同30条)を果たさない人には、「表現の自由」(同21条)や「職業選択の自由」(同22条)といった人権は認められないのでしょうか。
  2. 人権の特殊性
     人権も権利の一種ですが、しかし人権には「クリーン・ハンズの原則」は当てはまりません。つまり、義務を果たさない人であっても、人権を主張することは許されます。例えば、働けるのに仕事をせず、税金も滞納している人であっても、選挙に行って選挙権を行使することはできます。なぜならば、人権は「人間が生まれながらに持っている必要不可欠で基本的な権利」であり、基本的であるがゆえに奪ってはならないと考えられているためです。人権は、もしそれを否定されたならば、人間としての生存ができなくなるという最低限の条件を定めたものです。ですから、たとえ義務を果たさない人であっても、一人の人間として人権を主張することは許されます。ここに、人権という権利の特殊性があります。
  3. 人権とわがままの違い
     義務を果たさない人に人権だけを認めれば、わがままや身勝手を認めることになるのではないか。こんな疑問が出てくるかもしれません。でも大丈夫。人権にも一定の制約は伴います。それは、「他の人の人権を侵してはならない」という制約です。このような制約を人権の「内在的制約」といいます。人権はすべての人に認められるべき基本的な権利ですから、誰であっても他人の人権を侵すことは許されません。例えば、いくら表現の自由があるからといって、他人の名誉やプライバシーといった人格権(憲法13条)を侵すことはできないのです。このように、人権は決して独りよがりなわがままを認めるものではありません。

(金子匡良)

※このページは、阿久澤麻理子・金子匡良『人権ってなに? Q&A』解放出版社 2006年を元に作成

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