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知りたい!人権Q&A

国際的な人権保障に関するもの
国連以外で人権に関する条約や基準を作成する機関はあるのですか?

Answer

 数多くあります。

 まず、国連との協定によって協力し合っていくことを約束している国際機関のことを専門機関といいますが、そのなかで人権に関わる条約や基準を作っている機関として、国際労働機関(ILO)と国連教育科学文化機関(ユネスコ)を挙げることができます。

 ILOは労働条件や労働者の権利、社会保障の分野においてこれまで200近い条約や勧告を採択してきましたが、そのおもなものとして、結社の自由および団結権保護条約(1948年)、同一報酬条約(1951年)、強制労働廃止条約(1957年)、差別待遇条約(1958年)、最低年齢条約(1973年)最悪の形態の児童労働条約(1999年)などがあります。

 ユネスコは、正義、法の支配、人権の尊重を進めるために教育・科学・文化を通じて世界中の人々が協力することを目的として作られた国際機関で、とくに人権に関しては、教育差別禁止条約(1960年)や文化的表現の多様性の保護と促進に関する条約(2005年)、生命倫理と人権に関する世界宣言(2005年)などを作成しました。

 さらに、国連のような世界的な規模の国際機関ではなく、地理的な基準で加盟できる国家が限定される地域的機構も、それぞれの地域の人権伸長のために様々な条約を作ってきました。

 ヨーロッパ審議会はいまや47カ国が加入する地域的機構で、軍事・防衛以外のあらゆるヨーロッパ共通の関心事項を扱ってきましたが、なかでも人権条約の作成と実施は最も重要な任務の一つです。

 これまでに人権および基本的自由の保護のための条約(いわゆるヨーロッパ人権条約)、ヨーロッパ社会憲章、民族的少数者保護のための枠組み条約など200以上の条約を採択してきました。

 またアメリカ・カナダと中南米すべての国が加盟しているのが米州機構で、米州人権条約(1969年)を基礎としてとくに女性の権利の拡充についての条約を多く作成しています。

 さらにアフリカ地域では、植民地をなくすことを目的としたアフリカ統一機構が1963年に設立され、アフリカ難民条約や人および人民の権利に関するアフリカ憲章(バンジュール憲章)を採択しました。

 2000年にはアフリカ連合として組織の強化を図りましたが、財政的な事情でいまのところ完全にその機能を果たしているとはいえないのが現状です。

(中井伊都子)