MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. 国際人権ひろば
  4. 国際人権ひろば No.50(2003年07月発行号)
  5. ヒューライツ大阪の第2ステージに向けて -機関誌50号到達と設立10周年

国際人権ひろば サイト内検索

 

Powered by Google


国際人権ひろば Archives


国際人権ひろば No.50(2003年07月発行号)

現代国際人権考

ヒューライツ大阪の第2ステージに向けて -機関誌50号到達と設立10周年

前川 実(まえがわ みのる) ヒューライツ大阪総括研究員

機関誌第50号に到達


 財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)の機関誌「国際人権ひろば」は、本号で第50号に到達した。創刊号から10年目のことである。創刊号は、ヒューライツ大阪設立直後の1994年9月5日に「ヒューライツ大阪ニュースレター」のタイトルで発刊された。第1号から5号までは不定期刊行で無料配布であったが、第6号(96年3月)より1部300円の有料頒布とし、その後、97年5月発行の第7号から隔月の定期刊行(年6回)とし、同時に年間定期購読を呼びかけてきた。
 そして02年5月発行の第43号からタイトルを「国際人権ひろば」に改め、同時に誌面を刷新・充実して読みやすく、タイムリーな国際人権情報の提供を目指してきた。
 これまでに発行された50号をいま振り返ると、国連を中心とした国際人権をめぐる激動の10年が凝縮されており、同時に国際人権情報の交流拠点を目指して活動してきたヒューライツ大阪10年の歩みが、会長、理事長、所長をはじめ各スタッフのその時々の思いとともにきざまれている。

設立10周年(04年7月)を前にして


 ヒューライツ大阪は、94年7月22日に大阪府知事から法人認可を得て、8月1日に発足し、同年12月7日にJR大阪環状線弁天町駅前のオーク1番街15階に事務所を開設した。したがって、04年7月に設立10周年を迎えるため、スタッフ一同は、これまでの10年間の取り組みを検証し、設立趣旨・目的や「ヒューライツ大阪発展懇話会の提言」(99年末)の趣旨を踏まえ、今後のヒューライツ大阪がめざすべき第2ステージの長期的な展望と基本戦略を策定する作業を進めているところである。
 さる6月14日、ヒューライツ大阪会長の諮問機関である企画運営委員会は、第2ステージのあり方を検討する素材として「ヒューライツ大阪10周年記念事業の進め方および10周年後のヒューライツ大阪の課題について」の報告書を理事会と評議員会に提出した。
 その報告書は、ユネスコ人権教育賞名誉表彰の受賞など国際的な認知度が高まったとする一方で、ヒューライツ大阪の10年間を厳しく総括している。人権情報センターとしての情報の受信・発信事業、「人権教育のための国連10年」を中心とした調査・研究事業や研修・啓発や広報・出版事業、相談・情報サービス事業のいずれの面でも、一層の充実・強化を求めている。
 報告書はまた、開設以来の4つの目標(「もくじ」ページの「ヒューライツ大阪とは」参照)の実現をめざして活動すべきだが、国際的なネットワークをさらに強化しつつ、これからの人権情報センターのあり方、その個性をどう作り上げるかが最大の課題だと指摘している。
 すなわち、「人権」や「情報」の概念も広がり多様化している現在、国際人権に関する情報について、日本をふくむアジア・太平洋地域の人々にわかりやすく伝える機能をいっそう強化し、また多様で多彩な人権情報を収集し、発信する機能を強化し、商業ベースでは収集・発信できないアジア・太平洋地域の草の根の人権情報に強い"パブリック・メディアセンター" としての性格づけを強めるべきであるとしている。さらに、基金の運用益や大阪府・市からの補助金増額の見通しが厳しい状況では、よりいっそう自主財源確保の努力をするよう、報告書は提言している。

第2ステージでの創造的発展をめざして


 ヒューライツ大阪と反差別国際運動(IMADR)がローカルホストを務め、6月4-5日に大阪で開催されたユネスコ主催「反人種主義教育国際会議」は、人種主義・人種差別・外国人排斥および関連する不寛容に対する新たな闘いに関するユネスコの総合戦略の骨格を討議し、取りまとめた。
 この会議に寄せた松浦晃一郎ユネスコ事務局長のメッセージは、「専門家会議の結論が、人種主義と人種差別に反対する闘いに対するユネスコの新しい総合戦略をまとめ上げる力添えとなることを確信しています。今年の9-10月に開催されるユネスコ総会に提出されるこの新しい総合戦略は、世界から人種主義を駆逐するためのユネスコの不屈の努力において、あらたな段階を形成するでしょう」と述べ、ヒューライツ大阪の努力に謝意を表明した。ヒューライツ大阪にとっても、人権問題への取り組みを重視する新しいユネスコとの出会いの場となった。
 いま、国連ミレニアム開発目標(00年9月)やグローバル・コンパクト、人間安全保障委員会報告(03年5月)にもみられるように、平和、環境、開発、人権の概念が相互に浸透しつつ、さらに内容を発展させつつある。また、人権教育の概念と内容も、開発教育や環境教育、平和教育、人間安全保障教育などと相互に連関を持ち浸透しつつある。04年からスタートする「持続可能な開発のための教育10年」推進に向けても、日本国内のNGOネットワーク組織が、外務省、文部科学省、環境省などの支援のもとに結成されるなど、「人権教育のための国連10年」や「国際識字の10年」などとも連携しつつ、新しい人権教育の創造のこころみが始まっている。
 ヒューライツ大阪としても、国連が人権問題をすべての分野で重視して取り組んでいることをふまえ、従来の国連の縦割りの枠組みを超えて、国連人権高等弁務官事務所や国連難民高等弁務官事務所、ユネスコ、ユニセフ、国連開発計画、国連環境計画など、さまざまな国連機関とも、さらに連携を強化し、国際人権情報の交流拠点を目指す第2ステージの活動を創造的に発展させていきたいと願っている。