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国連女性差別撤廃委員会、難民女性、庇護申請女性などについて一般的勧告を採択

 国連女性差別撤廃委員会の第59会期が10月20日から11月7日まで開催され、ベネズエラ、ポーランド、中国、ガーナ、ベルギー、ブルネイ、ギニア、ソロモン諸島の報告が審査されたほか、女性の難民の地位、国籍、無国籍などに関する一般的勧告32が採択されました。
女性差別撤廃委員会は、締約国の報告審査において採択される総括所見とは別に、報告審査などをもとに一般的な勧告を出すことができます。これまで、女性に対する暴力、移住女性、紛争や紛争後における女性などについて一般的勧告を採択しています。
 また、この会期では子どもの権利委員会と合同で、女性の性器切除、「名誉」の名目で行われる犯罪、早期・強制結婚、乳幼児殺害など子どもと女性に対して行われる危害を与えるような慣習に関する一般的勧告も採択しました。
 女性の難民や国籍、無国籍に関する一般的勧告において、委員会は、締約国の領域内にいる、あるいは領域内にいなくても、その実効的管理下や管轄下にいる庇護を求める女性、難民女性、国籍取得・変更を申請する女性や無国籍の女性が条約にあげられる権利の侵害を受けないようする一義的責任を負うとして、締約国自身が直接的、間接的に権利の否定にあたるような行動をとらないだけでなく、個人、企業など国家ではない主体による差別を防止する措置をとり、そのような事態が起った場合には調査し、責任者を訴追するなどの義務があると述べています。条約は、女性が住む場所を追われてたどる過程のあらゆる局面に適用され、女性の地位の認定手続、送還または再定住の過程、社会への統合過程、または無国籍の認定過程、国籍の取得や変更手続、子どもや配偶者の国籍取得などにおけるジェンダーに基づく差別を禁止することが求められていると述べています。
 具体的には、難民条約における難民の定義である人種、宗教、国籍、特定の社会的集団または政治的意見を根拠に迫害のおそれをもとに認定するにあたり、解釈にジェンダーの視点を入れること、また女性であることから受ける迫害、女性に特に大きな影響を与える迫害についても留意するよう求めています。委員会はそのような迫害に、女性の性器切除、強制または早期結婚、「名誉」の名目で行われる犯罪、性暴力、女性の人身売買、深刻なDV、強制不妊措置、ジェンダーに基づく規範や社会習慣に従わないことで被る迫害などの女性に対する暴力が含まれるとしています。また多くの国で庇護申請が男性の経験を通して判断されていることも指摘しています。そのうえで、家族として庇護を申請している場合でも、女性が独自でも申請し審査されるよう確保すること、男性の家族の同席なしに独自で面接を受けられるようにすること、家族の中の主申請者が難民として認められた場合、その家族の他の構成員も難民として認められること、家族の一員として認められた場合でも個人の身分証を発行すること、手続の過程において、性的指向、ジェンダーの自認も含めたジェンダーに敏感な措置をとること、また子どもがいる場合、審査の面接の際に託児制度を提供するなど子どもに配慮すること、入国管理、難民認定に関わる職員の研修などを勧告しています。
 また、無国籍や国籍の取得、変更などについて、国際結婚で国籍を変更するのは男性よりも女性が多く、それぞれの国籍法の規定の欠缺(けんけつ)によって無国籍になってしまう場合があること、国籍の取得について経済的自立や受入国の言語習得など女性に不利な要件があるなど、規定の文言上は性中立的であっても、実際上差別となることがあると指摘し、国籍に関するジェンダーに基づく差別が女性と子どもの人権の享受に重大な不利益をもたらすと述べています。委員会は、国籍取得、変更や維持に関して男女の平等を確保し、婚姻により自動的に国籍取得または喪失することを規定する法律を廃止し、外国人男性と結婚した女性とその子どもに二重国籍を認めることを検討することなどを勧告しています。(11月14日)

出所:
女性差別撤廃委員会 一般的勧告 (OHCHR) http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CEDAW/Pages/Recommendations.aspx

(2014年11月18日 掲載)